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　ピスティは、クリシーの胸ぐらを掴みあげました。
「レナはどこにいる！　お前は、ここで何をしている！」
「う、く、苦しい･･････」
　クリシーは、顔を赤くしてもがいています。殴っても蹴っても許せる気分ではありませんでしたが、それでもクリシーには喋らせなければなりません。ピスティは、突き飛ばすように、クリシーから手を離しました。クリシーは、どしんと地面に尻餅をつきます。
「レナさまは、あの祠の中にいます」
　クリシーは、神たちが取り囲む、石の建物を指さしました。
「ピスティさま」
　クリシーは、苦しそうな声で訴えました。
「あの女はいけません。黒い髪の持ち主であることから怪しいと思っていたのですが、間違いありません。あの女は、いずれ人間を滅ぼしてしまうでしょう。このままレナさまを処刑するべきです」
「レナの何がいけないっていうんだッ！」
「あの女は魔法使いです。魔法の力を侮ってはいけません。魔法使いは、その存在自体が悪です。神々が呪文を唱え終われば、レナはこの世界から消え去ります。そうすれば、この世界は救われ･･････」
「黙れ！」
　もう聞いて入られませんでした。親子そろってピスティとレナを騙したばかりか、レナの存在自体を悪だと蔑み、しかも殺そうとしているのです。
　ピスティは怒りのあまり、クリシーの胸元を蹴り飛ばしました。クリシーは後ろに倒れて、気を失ったようです。
　それを見てから、ピスティは、祠を囲む神たちに向かって、滅茶苦茶に件を振りまわしました。
　いや、振り回そうとしました。でも、剣を振った瞬間に、何か硬いものに当たって、弾き返されてしまったのです。
　剣を握っているピスティの腕に、痛みが走ります。