ここから始まる物語
第17章 究極の二択
そんなおとぎ話のようなことがあるでしょうか。とてもではないけど、信じられません。
ライとフウとゲンも、顔をしかめて考え込んでいるようです。
「聞いたことのない話ですなあ」
もっとも年を重ねているゲンでさえも、納得できないでいるようです。
ほかの仲間は何も言いません。ピスティ自身も、何も言うことができませんでした。
沈黙が部屋の中に横たわります。
と、その時でした。いきなり――。
岩が爆発するかのような、大きな音がピスティの耳をつん割きました。
「何事だッ!」
ピスティは椅子から飛び上がり、窓辺へ駆け寄って外を眺めました。
外には、信じられない光景が広がっていました。
街に住んでいる人々が、大勢群がって城の門を叩き壊していたのです。もっとも異様なのは、彼らの目が赤く燃えていることでした。そんな彼らの先頭には、見知らぬ男が立っていました。ぼろぼろの服を身につけた汚らしい男です。
ピスティの後ろに、ライとフウとゲンと、そしてレナが張り付くように立っていて、ピスティと同じように外を眺めています。
「あの人たちは、みんな心を失った人たち」
レナは悸(わなな)く両手を口許へ当てて、よろけるように後ろへ遠ざかりました。
「私は・・・・・・私はひどいことをしてしまった・・・・・・」
今にも倒れてしまいそうだったので、ピスティはレナの背中へ手を当てて、そっと椅子へ座らせました。
「大丈夫。怖がらなくていい」
ピスティが励ますと、ゲンとフウもレナのまわりに集まりました。
「怖がることはありませんぞ。わしはこれでも元は軍師。どんな状況でもひっくり返して見せますわい」
「忍術自在」
間諜の技を自在に使うことが出来る――とフウは言っています。その力でレナを守ってやる、と言っているのでしょう。
しかし、ライだけはその仲間に加わりませんでした。ライは顔を真っ赤にして、レナを睨んでいます。
「おまえ、そんな悪者だっただか」
ライの太い腕と、顔の筋肉が、ぶるぶると震えています。
「どうしたのじゃ、ライよ」
ライとフウとゲンも、顔をしかめて考え込んでいるようです。
「聞いたことのない話ですなあ」
もっとも年を重ねているゲンでさえも、納得できないでいるようです。
ほかの仲間は何も言いません。ピスティ自身も、何も言うことができませんでした。
沈黙が部屋の中に横たわります。
と、その時でした。いきなり――。
岩が爆発するかのような、大きな音がピスティの耳をつん割きました。
「何事だッ!」
ピスティは椅子から飛び上がり、窓辺へ駆け寄って外を眺めました。
外には、信じられない光景が広がっていました。
街に住んでいる人々が、大勢群がって城の門を叩き壊していたのです。もっとも異様なのは、彼らの目が赤く燃えていることでした。そんな彼らの先頭には、見知らぬ男が立っていました。ぼろぼろの服を身につけた汚らしい男です。
ピスティの後ろに、ライとフウとゲンと、そしてレナが張り付くように立っていて、ピスティと同じように外を眺めています。
「あの人たちは、みんな心を失った人たち」
レナは悸(わなな)く両手を口許へ当てて、よろけるように後ろへ遠ざかりました。
「私は・・・・・・私はひどいことをしてしまった・・・・・・」
今にも倒れてしまいそうだったので、ピスティはレナの背中へ手を当てて、そっと椅子へ座らせました。
「大丈夫。怖がらなくていい」
ピスティが励ますと、ゲンとフウもレナのまわりに集まりました。
「怖がることはありませんぞ。わしはこれでも元は軍師。どんな状況でもひっくり返して見せますわい」
「忍術自在」
間諜の技を自在に使うことが出来る――とフウは言っています。その力でレナを守ってやる、と言っているのでしょう。
しかし、ライだけはその仲間に加わりませんでした。ライは顔を真っ赤にして、レナを睨んでいます。
「おまえ、そんな悪者だっただか」
ライの太い腕と、顔の筋肉が、ぶるぶると震えています。
「どうしたのじゃ、ライよ」