ここから始まる物語
第17章 究極の二択
ゲンが宥めますが、ライの興奮は収まらない様子です。
「願いを叶えるかわりにこんなことになったんじゃ、意味がねえだ! せっかく叶えた願いも、これじゃあ壊されちまう! よくもアウィーコート王国を地獄みたいな国に変えてくれただな! おまけにピスティさまの心そのものだなんて嘘をつきやがって、許せねえだ!」
ライの怪力を、ここにいるみんなは知っています。普段は穏やかなライですが、戦場では悪魔のようにいっぺんに何人もの敵を倒すのです。
そんなライの迫力に、レナはひゅっと息を吸って椅子から立ち上がりました。逃げようとしたのでしょうが、腰が砕けてわなわなと床に座り込んでしまいます。
「待て! ライ!」
ピスティはレナの前に立ちはだかって、ライを止めました。
「ピスティさまの命令でも、その女だけは許せねえだ!」
ライの怒りは尋常ではありません。そんなライに、今度はゲンが言いました。
「ここで、もしレナ殿を殺してしまっては、心を失った人びとを元に戻すことはできなくなるぞ」
「ん?」
それまで牛のように鼻息を荒くしていたライですが、ゲンの一言が効いたようです。
「つまり、庶民たちを元に戻す方法がある、ということだか」
「であろう。――違うかな、レナ殿」
ゲンは険しい表情でライに返事をしてから、一転優しく微笑んで、レナに尋ねました。
「は、はい」
レナは消え入りそうな声でこくりと頭を前へかしげました。
「それなら、早く話すだ」
ライは腕組みをして、不機嫌そうに、どすんと椅子に腰掛けました。とりあえずは怒りをおさめてくれたようです。
それでも、まだレナは震えています。そんなレナを、ピスティは助け起こして、また椅子に座らせると、自分も椅子にかけました。
みんなが落ち着いたのを見て、ゲンも椅子に腰をおろします。
「願いを叶えるかわりにこんなことになったんじゃ、意味がねえだ! せっかく叶えた願いも、これじゃあ壊されちまう! よくもアウィーコート王国を地獄みたいな国に変えてくれただな! おまけにピスティさまの心そのものだなんて嘘をつきやがって、許せねえだ!」
ライの怪力を、ここにいるみんなは知っています。普段は穏やかなライですが、戦場では悪魔のようにいっぺんに何人もの敵を倒すのです。
そんなライの迫力に、レナはひゅっと息を吸って椅子から立ち上がりました。逃げようとしたのでしょうが、腰が砕けてわなわなと床に座り込んでしまいます。
「待て! ライ!」
ピスティはレナの前に立ちはだかって、ライを止めました。
「ピスティさまの命令でも、その女だけは許せねえだ!」
ライの怒りは尋常ではありません。そんなライに、今度はゲンが言いました。
「ここで、もしレナ殿を殺してしまっては、心を失った人びとを元に戻すことはできなくなるぞ」
「ん?」
それまで牛のように鼻息を荒くしていたライですが、ゲンの一言が効いたようです。
「つまり、庶民たちを元に戻す方法がある、ということだか」
「であろう。――違うかな、レナ殿」
ゲンは険しい表情でライに返事をしてから、一転優しく微笑んで、レナに尋ねました。
「は、はい」
レナは消え入りそうな声でこくりと頭を前へかしげました。
「それなら、早く話すだ」
ライは腕組みをして、不機嫌そうに、どすんと椅子に腰掛けました。とりあえずは怒りをおさめてくれたようです。
それでも、まだレナは震えています。そんなレナを、ピスティは助け起こして、また椅子に座らせると、自分も椅子にかけました。
みんなが落ち着いたのを見て、ゲンも椅子に腰をおろします。