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第17章 究極の二択

「でも、きっと私は死ななければならないの。この国が殺し合いの地獄にならないために・・・・・・」
「そのためにレナを失うなんて、僕にはできない!」
 ピスティは怒鳴り声をあげていました。
「みんなもそう思うだろう」
 仲間たちに呼びかけてみましたが、フウとライは返事をしませんでした。ライはもともとレナに怒りを示していたので無理もないのかもしれませんが、フウまで返事をしないことには不安を感じていました。
 フウは、その仮面の下でどんなことを考えているのでしょうか。やや俯いているところをみると、きっとフウは答えを決めかねているのでしょう。
「ゲンはどう思う」
 まさかレナを犠牲にするなんて答えが出るのではないかと思ったピスティは、ゲンにも答えを求めました。
「そうですなあ」
 ゲンは苦しそうな顔で唸っていましたが、ピスティに返事をする前に、レナに問いかけました。
「どうして、レナ殿が死ななければならないのですかな」
「私がいれば、また誰かの願いごとを叶えてしまうことになるかもしれないわ。そうすれば、また誰かが心を失ってしまう」
「それは大丈夫だよ。誰の願いも、僕がかわりに願わなければ、それを叶えることはできないんだから。僕が願わなければそれで済む話じゃないか」
「そうかもしれないけど、でも、私がいる限り、ひょっとしたら私の魔法の力をめぐって争いが起きたりするかもしれない。ひょっとしたら、ピスティを騙して、願いを叶えさせる方法を考える人たちが現れるかもしれない。そうなったら、今よりひどいことになるわ」

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