ここから始まる物語
第17章 究極の二択
「言うまでもないわ。死ぬ覚悟は――できてる」
レナは、胸元で両手を握りしめました。
「私一人のために、国が不幸になってしまうなんて、私は嫌。だから、殺してちょうだい」
「そんなこと――」
できるわけがありません。崖から落ちたところを助けてもらい、しかも、ずっと気にしていた腕の怪我を直してもらい、兄と父を捕まえることに協力してもらったレナを、ピスティは殺すことなどできません。
「できないよ!」
ピスティは机を殴りました。そのピスティの拳を、レナは優しく包みました。
「だめよ。ピスティ、あなたは王様よ。この国の幸せを何より大切にしなければいけないんでしょ。それなら、私なんかのために街の人たちを犠牲にしてはいけないわ」
「レナ、きみはそういうけど、きみだって街の人の一人だろ。だったら、同じだ。きみだって街の人と同じように大切にしないといけない。だから僕は、きみを殺すことなんてできない」
「それは違うわ。考えてみて、私が街の人と同じように大切だとしても、私は一人よ。でも街の人は数え切れないほど大勢。人間として同じ価値なら、一人のために大勢を犠牲にすることは間違っているわ」
「おらは賛成だ」
ピスティが返事をする前に、ライがそう言いました。
「数だけの問題じゃねえだ。レナは、すでに罪を犯しているだよ。街の人たちから心を奪ったって罪をだ。それが、今もこの城の門をぶっ壊している最中だだよ」
ライの言う通り、外から聞こえる破壊の音と雄叫びは、ますます増しています。
「この暴力沙汰が、この城だけじゃなくて、街じゅうに、それから国じゅうに広がったら、それこそこの国は終わりだ。どの国でも、国を滅亡に導いた人間は必ず死刑になるだ。そう考えたら、レナを殺すことは当たり前だだよ」
レナは、胸元で両手を握りしめました。
「私一人のために、国が不幸になってしまうなんて、私は嫌。だから、殺してちょうだい」
「そんなこと――」
できるわけがありません。崖から落ちたところを助けてもらい、しかも、ずっと気にしていた腕の怪我を直してもらい、兄と父を捕まえることに協力してもらったレナを、ピスティは殺すことなどできません。
「できないよ!」
ピスティは机を殴りました。そのピスティの拳を、レナは優しく包みました。
「だめよ。ピスティ、あなたは王様よ。この国の幸せを何より大切にしなければいけないんでしょ。それなら、私なんかのために街の人たちを犠牲にしてはいけないわ」
「レナ、きみはそういうけど、きみだって街の人の一人だろ。だったら、同じだ。きみだって街の人と同じように大切にしないといけない。だから僕は、きみを殺すことなんてできない」
「それは違うわ。考えてみて、私が街の人と同じように大切だとしても、私は一人よ。でも街の人は数え切れないほど大勢。人間として同じ価値なら、一人のために大勢を犠牲にすることは間違っているわ」
「おらは賛成だ」
ピスティが返事をする前に、ライがそう言いました。
「数だけの問題じゃねえだ。レナは、すでに罪を犯しているだよ。街の人たちから心を奪ったって罪をだ。それが、今もこの城の門をぶっ壊している最中だだよ」
ライの言う通り、外から聞こえる破壊の音と雄叫びは、ますます増しています。
「この暴力沙汰が、この城だけじゃなくて、街じゅうに、それから国じゅうに広がったら、それこそこの国は終わりだ。どの国でも、国を滅亡に導いた人間は必ず死刑になるだ。そう考えたら、レナを殺すことは当たり前だだよ」