ここから始まる物語
第17章 究極の二択
「うるさいッ!」
ピスティは思わず、ライの背中をつかみあげました。といっても、ライの体は大きいので、ピスティの腕では持ち上げることなんてできません。ただ、ライの服だけが引き伸ばされただけです。
「レナは僕の妻だぞ! 僕を助けてくれた恩人だぞ! 僕が王になれたのも、全部レナのおかげだ! そのレナを殺せだなんて、よく言えたものだな!」
「乱暴はやめるだよ」
ライは、まるで蠅を追い払うかのように、片腕を軽く振りました。たったそれだけの動きだったのに、ピスティは押しのけられてしまいました。ピスティは、あらためてライの怪力を思い知らされましたが、それでも黙ってはいられませんでした。
「ライ! おまえこそ何をする! 王である僕によくも手を出してくれたな!」
「それは言ってはならぬことですぞ」
ピスティの言葉を、ゲンがたしなめました。
「たしかにピスティさまは王です。権力の頂点にいるお方。この国でもっとも権威のあるお方です。ですが、権力にものを言わせて人を従わせた瞬間に、権威は地に落ちるのです。上に立つ者は、権力でも武力でもなく、徳で人を治めねばなりませぬ。それこそが王道というもの」
ゲンはは怒鳴りこそしませんでしたが、その低い声に、ピスティは威圧されました。
「おらあも、今のピスティさまには従えねえだ。友とも思えねえ」
ライは椅子の上にふんぞり返って、頬を膨らませています。
「傲慢至極」
フウも、ピスティの態度を責めています。
ピスティも、ゲンのいうことは分かっていました。思わずライに乱暴をしまったことも、それから、王という地位をかさに着て偉そうな態度をとったこともいけないことだとわかっていました。反省もしていました。
ピスティは思わず、ライの背中をつかみあげました。といっても、ライの体は大きいので、ピスティの腕では持ち上げることなんてできません。ただ、ライの服だけが引き伸ばされただけです。
「レナは僕の妻だぞ! 僕を助けてくれた恩人だぞ! 僕が王になれたのも、全部レナのおかげだ! そのレナを殺せだなんて、よく言えたものだな!」
「乱暴はやめるだよ」
ライは、まるで蠅を追い払うかのように、片腕を軽く振りました。たったそれだけの動きだったのに、ピスティは押しのけられてしまいました。ピスティは、あらためてライの怪力を思い知らされましたが、それでも黙ってはいられませんでした。
「ライ! おまえこそ何をする! 王である僕によくも手を出してくれたな!」
「それは言ってはならぬことですぞ」
ピスティの言葉を、ゲンがたしなめました。
「たしかにピスティさまは王です。権力の頂点にいるお方。この国でもっとも権威のあるお方です。ですが、権力にものを言わせて人を従わせた瞬間に、権威は地に落ちるのです。上に立つ者は、権力でも武力でもなく、徳で人を治めねばなりませぬ。それこそが王道というもの」
ゲンはは怒鳴りこそしませんでしたが、その低い声に、ピスティは威圧されました。
「おらあも、今のピスティさまには従えねえだ。友とも思えねえ」
ライは椅子の上にふんぞり返って、頬を膨らませています。
「傲慢至極」
フウも、ピスティの態度を責めています。
ピスティも、ゲンのいうことは分かっていました。思わずライに乱暴をしまったことも、それから、王という地位をかさに着て偉そうな態度をとったこともいけないことだとわかっていました。反省もしていました。