ここから始まる物語
第17章 究極の二択
究極の二択です。答えなんて、出せません。
外からは、暴れ狂っているだろう民衆と、それを抑えている兵士たちの声が聞こえてきます。
ゲンは目を閉じて黙っています。
ライも、いつの間にかピスティに視線を向けています。
フウも、瞬きをせずにピスティを見ています。
「お願い、私を悪者にしないで」
後ろからは、レナの縋るような声が聞こえます。
国を助けるか、レナを助けるべきか。
――どっちを選んだらいいんだ。
どんなに考えても答えが出ません。
悩んでいるその時でした。
突然、どたどたと誰かが廊下を走る音が聞こえてきました。
その足音は近づいてきたかと思うと、ピスティたちがいる部屋の前で止まました。そして乱暴に扉が開かれ、家来の一人が姿を現しました。
「大変です! 暴徒の群れが、とうとう城の中に――」
家来は言い終わる前に、呻き声をあげて廊下の奥へ吹き飛ばされてしまいました。その直後、今度は大勢の足音が聞こえ、その先頭を走っていたと思われる人物が部屋の中へ乗り込んできました。
ぼろぼろの服をまとった、見知らぬ男です。いや――どこかで見覚えのある顔です。
「誰だッ! おまえは!」
「私の顔を見忘れたか」
男はにんまりと笑いました。
ピスティはその顔を見つめて記憶を探りました。
今までに会ったたくさんの人々。男の顔は、その中に確かにありました。
「貴様・・・・・・」
かつて感じたことのある感情が、胸の中に湧き上がってきました。頭の中が、真っ赤に染まります。
「貴様は――フォビスだな!」
「ようやく思い出してもらえたようだねえ」
外からは、暴れ狂っているだろう民衆と、それを抑えている兵士たちの声が聞こえてきます。
ゲンは目を閉じて黙っています。
ライも、いつの間にかピスティに視線を向けています。
フウも、瞬きをせずにピスティを見ています。
「お願い、私を悪者にしないで」
後ろからは、レナの縋るような声が聞こえます。
国を助けるか、レナを助けるべきか。
――どっちを選んだらいいんだ。
どんなに考えても答えが出ません。
悩んでいるその時でした。
突然、どたどたと誰かが廊下を走る音が聞こえてきました。
その足音は近づいてきたかと思うと、ピスティたちがいる部屋の前で止まました。そして乱暴に扉が開かれ、家来の一人が姿を現しました。
「大変です! 暴徒の群れが、とうとう城の中に――」
家来は言い終わる前に、呻き声をあげて廊下の奥へ吹き飛ばされてしまいました。その直後、今度は大勢の足音が聞こえ、その先頭を走っていたと思われる人物が部屋の中へ乗り込んできました。
ぼろぼろの服をまとった、見知らぬ男です。いや――どこかで見覚えのある顔です。
「誰だッ! おまえは!」
「私の顔を見忘れたか」
男はにんまりと笑いました。
ピスティはその顔を見つめて記憶を探りました。
今までに会ったたくさんの人々。男の顔は、その中に確かにありました。
「貴様・・・・・・」
かつて感じたことのある感情が、胸の中に湧き上がってきました。頭の中が、真っ赤に染まります。
「貴様は――フォビスだな!」
「ようやく思い出してもらえたようだねえ」