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第18章 団結

 目の色を変えている民衆たちは、フォビスの問いかけに、思い通りの答えを叫びました。

「死刑だ!」
「罪人は処刑するべきだ!」
「罰を与えろ!」
「火あぶりだ!」

 しかしフォビスは、それらの声をおさめました。自分の信頼を高めるための考えがあったのです。
「みんなの気持ちはわかった。しかし――」
 フォビスはレナの体を抱き寄せました。
「嫌ッ」
 レナが嫌がることになどかまわず、フォビスはレナの白い頬に、自分の顔を近づけました。
「――この女は魔法使いだ。火あぶりごときでは死なない」
 そのフォビスの言葉を、民衆は信じたようです。

「恐ろしい」
「じゃあ、どうすれば」
「魔法使いめ・・・・・・」

 レナに対する恐怖と怒りの感情をぶつけます。自分たちの願いを叶えたのがレナであることも忘れて・・・・・・。そんな簡単なことさえもわからないくらいに、民衆は考えることが出来なくなっていたのです。
 民衆の不安を鎮めるように、フォビスは言いました。
「しかし安心しなさい。どんなに恐ろしい魔法使いでも、この私の力なら殺すことができる」
 どうすれば殺せるのですか――という声があちこちからあがります。
「よく聞くんだ! この魔の者を殺すためには、ひと晩、秘密の儀式を行わなければならない。それは、誰にも見られてはいけないものだ。だからみんな、今夜は安心して家に帰るといい。あとは私に任せなさい」
 民衆は、その言葉を信じたのか、どこか安心したようにそれぞれ広場をあとにしました。もっとも、目は赤く光ったままでしたが・・・・・・。

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