ここから始まる物語
第18章 団結
レナは苦しむような表情はまったく見せていません。
口をぽっかりと開けて、まるで誕生日プレゼントをもらった子供のように、目を丸くして自分の胸元を見ています。
「ほ、本当に死なないのか」
フォビスは意地になって、短剣を何度も何度もレナに突き立てたのですが、やはり効き目も手応えもはありません。
※
レナも驚いていました。短剣を胸に突き立てられたのに、痛みもなければ血も出ないのです。こんなことってあるでしょうか。
フォビスも驚いている様子です。驚くどころか、恐怖さえ感じているようです。
レナに短剣が刺さらないなんて、きっとフォビスも知らなかったのでしょう。広場では、魔法使いは簡単に殺せないなどと言っていましたが、あれは何も知らずに、当てずっぽうに言っただけ・・・・・・。そして罪を与える、という名目で、レナを嬲ろうとしたに違いありません。それは確かに「もっとも耐えがたい刑」といえそうです。
――なんて卑劣な男。
しかし、その卑劣な男も、まさか本当にレナが死なないとは思っていなかったので、驚きと共に恐怖も感じ始めている、といったところでしょうか。
そんなフォビスの感情を読み取って、レナはそれを利用しました。
まずは口許だけで笑ってみせます。それから、もともとつり目がちなのを利用して、鋭くフォビスを睨みつけました。
「私に手を下したこと、後悔するといいわ。魔法使いの呪いを、あなたにかけてあげる」
もちろん、出任せです。呪いをかけるような力など、レナは持っていません。しかし、フォビスを怯えさせるには充分でした。
「ひいッ」
口をぽっかりと開けて、まるで誕生日プレゼントをもらった子供のように、目を丸くして自分の胸元を見ています。
「ほ、本当に死なないのか」
フォビスは意地になって、短剣を何度も何度もレナに突き立てたのですが、やはり効き目も手応えもはありません。
※
レナも驚いていました。短剣を胸に突き立てられたのに、痛みもなければ血も出ないのです。こんなことってあるでしょうか。
フォビスも驚いている様子です。驚くどころか、恐怖さえ感じているようです。
レナに短剣が刺さらないなんて、きっとフォビスも知らなかったのでしょう。広場では、魔法使いは簡単に殺せないなどと言っていましたが、あれは何も知らずに、当てずっぽうに言っただけ・・・・・・。そして罪を与える、という名目で、レナを嬲ろうとしたに違いありません。それは確かに「もっとも耐えがたい刑」といえそうです。
――なんて卑劣な男。
しかし、その卑劣な男も、まさか本当にレナが死なないとは思っていなかったので、驚きと共に恐怖も感じ始めている、といったところでしょうか。
そんなフォビスの感情を読み取って、レナはそれを利用しました。
まずは口許だけで笑ってみせます。それから、もともとつり目がちなのを利用して、鋭くフォビスを睨みつけました。
「私に手を下したこと、後悔するといいわ。魔法使いの呪いを、あなたにかけてあげる」
もちろん、出任せです。呪いをかけるような力など、レナは持っていません。しかし、フォビスを怯えさせるには充分でした。
「ひいッ」