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ここから始まる物語

第18章 団結

 民衆の内輪もめはどんどん大きくなっていき、血を流すものも現れ始めました。
 すると、それを見た通りすがりの人が止めに入りました。が、その人も殴り合い怒鳴り合いの渦に巻き込まれてしまいます。そうして、争う人の数は、ますます多くなっていきました。
 レナは胸がつまりました。喧嘩が大きくなるということは、つまりそれだけ、レナが人びとの心を喰ってしまっていた、ということです。
 どうするべきかわからず、レナはただただ民衆の喧嘩を眺めるしかありませんでした。涙が流れ、息が詰まりましたが、まだ身体を縛られたままなので、どうすることもできませんでした。

 ※

 ピスティは、まだ丘の上で寝ていました。木の根元に横たわって、ただ呼吸をしているだけでした。目は見えているし、耳も聞こえているのですが、意識的に視たり聴いたりしているわけではありません。
 胸を行き交うのは、後悔と寂しさのみ・・・・・・。
 そんなぼんやりしたピスティの元に、黒い服を着た男が駆け寄ってきました。顔には白い仮面をつけています。
 フウでした。
 フウはピスティの近くまで来ると、地面に膝をついて言いました。
「救援要請」
 助けてほしい――と言っています。
 ピスティは、はじめ信じられませんでした。目の前にフウがいる、ということが・・・・・・。
 ピスティの前から、真っ先に姿を消したのがフウだったのです。そのフウが、またこうして自分のもとへ来てくれるなんて、思ってもいなかったことです。
 ピスティは、嬉しくなって、思わず飛び上がって抱きつこうとしたのですが、ふと、思いとどまりました。
 すでに喧嘩をしてしまっているのです。ピスティの中の頑固な部分が、気持ちを素直に出すことを邪魔したのでした。
 ピスティは、わざと意地悪に言いました。

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