ここから始まる物語
第18章 団結
「感謝いたします! ピスティさま。案内いたします。私についてきてください」
ライは涙を拭うと、まるで飛蝗(ばった)が跳ねるように、街の中へ進んでいきました。素早い動きですが。ピスティがついてこられるように、わざとゆっくり進んでいるようです。フウが本気を出せば、もっともっと素早く動くことができます。
ピスティは、そのフウのあとを追いました。
※
街の一部では、大きな火事が起きていました。真っ赤な炎が、夜の闇を舐めています。その炎と瓦礫の間で、人びとが争っています。怒鳴り合い、殴り合い、中には刃物で戦っているものさえいます。
「なんてことだ」
レナの言う「心を喰われた者」が、ここまでひどいことをするとは思ってもいませんでした。
しばらくは呆然と街を眺めていたピスティですが、すぐに、街へ来た目的を思い出しました。
ライとゲンを助けるためです。
ピスティは剣を抜き、炎と暴動の中へ飛び込みました。
フウが道案内をしてくれましたが、すでにその場所には二人の姿はなく、別れて探すことにしました。
必死に、二人の姿を探します。たまに火の粉がかかってきたり、人びとの振り下ろす拳がピスティに向けられたりしましたが、ピスティはそれをかわしながら、必死でゲンとライの姿を探しました。
やがて、街の真ん中にある教会の近くに、痩せた老人と太った男の陰を見つけました。
遠目に見えるだけですが、それはまさしく、ライとゲンの姿でした。
「大丈夫か!」
ピスティは二人に駆け寄りました。
「おお、ピスティさま!」
ゲンが声を震わせました。
「しかし、申しわけございません。儂はまだピスティさまを友とは認められんのですわ」
ゲンはこんな時だというのに、ピスティと議論をかわそうとしています。
「すまなかった、二人とも。僕はどうしても意地を張ってしまう癖があるようなんだ。本当は二人を大事な友達だと思っている。いや、そう思わせてほしい。本当にすまなかった」
ライは涙を拭うと、まるで飛蝗(ばった)が跳ねるように、街の中へ進んでいきました。素早い動きですが。ピスティがついてこられるように、わざとゆっくり進んでいるようです。フウが本気を出せば、もっともっと素早く動くことができます。
ピスティは、そのフウのあとを追いました。
※
街の一部では、大きな火事が起きていました。真っ赤な炎が、夜の闇を舐めています。その炎と瓦礫の間で、人びとが争っています。怒鳴り合い、殴り合い、中には刃物で戦っているものさえいます。
「なんてことだ」
レナの言う「心を喰われた者」が、ここまでひどいことをするとは思ってもいませんでした。
しばらくは呆然と街を眺めていたピスティですが、すぐに、街へ来た目的を思い出しました。
ライとゲンを助けるためです。
ピスティは剣を抜き、炎と暴動の中へ飛び込みました。
フウが道案内をしてくれましたが、すでにその場所には二人の姿はなく、別れて探すことにしました。
必死に、二人の姿を探します。たまに火の粉がかかってきたり、人びとの振り下ろす拳がピスティに向けられたりしましたが、ピスティはそれをかわしながら、必死でゲンとライの姿を探しました。
やがて、街の真ん中にある教会の近くに、痩せた老人と太った男の陰を見つけました。
遠目に見えるだけですが、それはまさしく、ライとゲンの姿でした。
「大丈夫か!」
ピスティは二人に駆け寄りました。
「おお、ピスティさま!」
ゲンが声を震わせました。
「しかし、申しわけございません。儂はまだピスティさまを友とは認められんのですわ」
ゲンはこんな時だというのに、ピスティと議論をかわそうとしています。
「すまなかった、二人とも。僕はどうしても意地を張ってしまう癖があるようなんだ。本当は二人を大事な友達だと思っている。いや、そう思わせてほしい。本当にすまなかった」