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ここから始まる物語

第18章 団結

 暴徒は、数え切れないほど街に溢れています。そのすべてを元に戻すことなど、とてもではないけど無理です。少なくともピスティ一人では追いつかないでしょう。
 それでも、ピスティは王として、それをしないわけにはいきませんでした。
 目眩と眠気と痛みと寒気に襲われながらも、ピスティは重い足を引きずって、また次の暴徒へと向かいます。
「もうおやめくだされ、ピスティさま!」
 ピスティの前にゲンが立ちはだかりました。
「ピスティさまの誠意は、もうわかりました。だから、これ以上傷つかないでくだされ」
「しかし、これは僕の責任なんだ」
「ピスティさまの命のために、その責任はもう放棄してくだされ」
 ゲンが、その細くて骨ばった腕で、ピスティの身体を抱きしめてくれました。
「わしらが、わしらがやりますから」
 ゲンは嗚咽混じりにそう言いました。
「だからピスティさまは、どうか、もう休んでくだされ」
 ゲンはピスティの身体を背負うと、元いた教会の近くまで運んでくれました。
 ピスティはそれでもなお立ち上がろうとしましたが、もう小指を動かす力もありませんでした。声を出すこともできません。
 隣には、ライがまだ苦しそうに唸りながら寝ています。
 眠気が強くなってきて、まぶたが落ちてきそうになるのを、ピスティは我慢していました。
 せめて意識だけははっきりしておかなくては、この怪我では死んでしまうかもしれない――そう思ったのです。
 しかし、視界は霞んでいきます。その霞む視界の隅で、ピスティは確かに見ました。
 ピスティに代わって、ゲンとフウが、暴徒たちを抱きしめている姿を・・・・・・。そして、元に戻った人びとが、ゲンとフウを見習って、次々と暴徒たちを抱きしめている姿を・・・・・・。

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