ここから始まる物語
第18章 団結
元に戻る人間は、一人、二人、四人、八人、と倍々に増えていきます。
そして夜が開ける頃には、暴徒は一人もいなくなっていました。みんな元に戻ったのです。
朝日に照らし出された街は、すっかり焼き払われてしまっていました。
でも、人びとの顔は、どこかさっぱりしているようでした。もう、誰も喧嘩などしていません。余裕のあるものは怪我人の手当をし、暴力を振るった者は謝り、謝られたものはそれを許し、壊れてしまった街をふたたび建て直そうという勇ましい声まで聞こえます。
人びとは、もうレナに頼ろうとはしていない様子でした。自分たちの力で、街を建て直そうとしているのです。中にはこんなことをいう人もいました。
「今まで、レナさまに頼りすぎていた気がする。どんな願いも叶うから、ちょっとのことでいらいらしてしまうようになっていたのかもしれない」
「もう魔法の力に頼るのはやめよう」
その通りでした。願いを叶えたからこそ、心を喰われてしまったのです。偶然でしょうが、人びとはそれに気づいたようです。
そう決意した人びとの姿は、街が壊される前に比べて、いっそう団結力が強くなっているように、ピスティには思えました。
それにしても、いったいレナはどこへ行ってしまったのでしょうか。
――レナに逢いたい。どこにいるのか知りたい。
ピスティは、心の中で強く願いました。
魔法の力で願いを叶えるということは、レナに心を喰われるということです。でも、ピスティに限っては、そのおそれはないのだと、レナは言っていました。レナが、ピスティの心そのものだからです。
だから、ピスティだけは、なんの心配もなく願いごとができるのです。
そして夜が開ける頃には、暴徒は一人もいなくなっていました。みんな元に戻ったのです。
朝日に照らし出された街は、すっかり焼き払われてしまっていました。
でも、人びとの顔は、どこかさっぱりしているようでした。もう、誰も喧嘩などしていません。余裕のあるものは怪我人の手当をし、暴力を振るった者は謝り、謝られたものはそれを許し、壊れてしまった街をふたたび建て直そうという勇ましい声まで聞こえます。
人びとは、もうレナに頼ろうとはしていない様子でした。自分たちの力で、街を建て直そうとしているのです。中にはこんなことをいう人もいました。
「今まで、レナさまに頼りすぎていた気がする。どんな願いも叶うから、ちょっとのことでいらいらしてしまうようになっていたのかもしれない」
「もう魔法の力に頼るのはやめよう」
その通りでした。願いを叶えたからこそ、心を喰われてしまったのです。偶然でしょうが、人びとはそれに気づいたようです。
そう決意した人びとの姿は、街が壊される前に比べて、いっそう団結力が強くなっているように、ピスティには思えました。
それにしても、いったいレナはどこへ行ってしまったのでしょうか。
――レナに逢いたい。どこにいるのか知りたい。
ピスティは、心の中で強く願いました。
魔法の力で願いを叶えるということは、レナに心を喰われるということです。でも、ピスティに限っては、そのおそれはないのだと、レナは言っていました。レナが、ピスティの心そのものだからです。
だから、ピスティだけは、なんの心配もなく願いごとができるのです。