テキストサイズ

ここから始まる物語

第19章 金色の軍隊

 最後に残っている記憶は、レナに会いたいと強く願ったことです。それでも、レナに会うことはできなかったのです。
「レナは、どうしているのかな」
「多くの者が探しているようですが、まだお姿は・・・・・・」
 ゲンは頭を横に振りました。見つかっていない、という意味でしょう。ピスティの気は沈みました。死を覚悟した者が姿を見せないとなると、気が焦ります。が、自分が怪我を負って動けない以上、今は任せるしかありません。
 レナのこと以外にも、気になることはあります。
「ライは?」
 毒に当たったとかで、ひどく苦しんでいたはずです。
「ライなら、もう心配ございませんぞ。あそこで大飯を喰らっておりますわ」
 ゲンの指さす方を見ると、肉やチーズやパンをがつがつとたいらげている大男の姿がありました。
「ははは、あれならもう大丈夫そうだね」
 いつものライの姿に、ピスティは久しぶりに、心がほぐれました。でも、まだまだ心配なことはあります。
「街は、どうなってるんだ」
「ゆうべ焼けたのは、街の一部のみです。その部分は、まだ廃墟のままですが、ほかの場所は無事です」
「無事、か」
 しかし、言葉だけではなんだか不安でした。
「自分の目で見たい」
「しかし、そのお身体では・・・・・・」
「僕は、王なんだ。街がどうなっているのか、知らなくてはいけない」
 ピスティは歯を食いしばって、ふたたび身を起こしました。
 やはり身体中が痛みに襲われますが、それをこらえて、なんとか上半身だけを起こすことができました。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ