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第19章 金色の軍隊

「そうなのか」
 ピスティは少し心配になりました。
「あれほどの人数に支払うお金は、城にはないはずだ。どうしたものだろう」
「ご心配には及びませぬ。彼らははじめから、お金をもらおうなどとは思っていません」
「では、どうして・・・・・・」
「団結、という言葉が、ゆうべから盛んに言われるようになったのでございます」
「団結だって?」
 そういえば、ピスティもそんな印象を受けました。ゆうべ、ピスティが気を失う寸前に、正気を取り戻した街の人たちが、自分たちで街を立て直すと張り切っていたのを、ピスティも見ました。なんでも願いが叶うから、小さなことにもいらいらするようになってしまっていたのだ、もう魔法の力に頼るのはやめよう――そんな言葉を、人びとは口にしていました。
 ――そうか。
 そうかもしれない――とピスティは思いました。
 何日か前まで、ピスティは腕に怪我を負っていたのです。一生治らないと言わていた怪我です。でも、それなりに剣は使えたし、生活の上で困ることもありませんでした。
 しかし、今は違います。レナの魔法によって、治らないはずの怪我が治ったのです。治ってみると、腕が自由に動かせることがこれほど便利なのかと驚くことがたくさんありましたし、何より、剣の腕がぐんと上がったのです。もし、腕の怪我が治っていない時の暮らしに戻ったら、それまではどうとも思わなかったことに、不便さやいらいらを感じることでしょう。
 街の人もそうなのかもしれません。便利に便利になっていったことで、それまではどうでもよかったことが不満に思えるようになってしまっていたのでしょう。
 部屋の中からも、ゆうべの騒動からは想像もできないような明るい声が、いくつも聞こえてきます。

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