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ここから始まる物語

第19章 金色の軍隊

 喉が避けるほどに叫びますが、向こうはこちらに気づかない様子です。
 身体が動かないばかりか声も届かなくて、でも求め続けたレナの姿がすぐ近くにあるのです。もどかしさで体が爆発しそうになります。どうしようもなくてただ叫んでいると、後ろから、親しみのある声が聞こえてきました。

「おらが連れていってやるだよ」

 ライの声です。
「ライ・・・・・・」
「ピスティさまのおかげで助かっただ。おらが、おんぶしてやるだよ。――ほら、背中に乗んなせい」
 ライは、ピスティに背中を向けると、その場にしゃがみこみました。
「ありがとう、ライ」
 ピスティは、ライの言葉に甘えて、その背中にしがみつきました。ライの体は逞しく、でも包み込んでくれるような暖かさを帯びていました。

 ※

 ピスティたちは、城の前へ到着しました。
 それにいち早く気づいたのが、アウィーコート軍の将軍でした。
「王さま!」
 将軍が指示を出すと、兵士たちがピスティたちを取り囲みました。護衛のためです。その動きの速さに、ピスティは嬉しくなりました。なんと訓練された兵士たちでしょう。頼もしい限りです。
 ピスティは、ライの背中から降りると、身体を仲間に支えられながら、声を張り上げました。
「僕がピスティだ。お前たちは、何者だ!」
 すると、金色の軍隊も、整った動きでピスティの方を向きました。その先頭にいる金色の将軍が、厳かな声で言いました。
「我らは神だ」
「神、だと?」
 なるほど、その体の逞しさ、そして豪華な防具と武器を見ると、神のようにも見えます。が、本当に神が姿を現したなどとは思えません。
「本当のことを言え」
 ピスティはなるべく冷静な態度で問いかけました。
 その問いかけに答えたのは、将軍ではありませんでした。

「私から説明した方が良さそうですな」

 金色の軍隊の中から、見覚えのある男女が姿をあらわしました。

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