ここから始まる物語
第4章 確執
急に、手に痛みが走りました。同時に意識が戻り、はじめて自分がしようとしていたことの重大さを理解しました。
意識が戻った瞬間、ころりと硬いものが落ちる音がしました。
床に視線を落とすと、石が転がっていました。
さっき手に痛みが走ったのは、この石が当たったからでしょう。
いったい、誰が石なんか投げたんだろうと目をあげると――。
部屋の入口に、兄の姿がありました。
生っ白い肌に、縮れた髪。剃刀で紙を裂いたかのような薄い目には、嘲りの色が浮かんでいます。
兄の名はフォビスメノス。名前が長いので、普段はフォビスと呼ばれています。
「おまえのやろうとしたことは謀反だよ」
のっぺりとした顔には表情ひとつ浮かべず、兄のフォビスは言いました。
フォビスはピスティに目をくれながらベッドに近寄ると、寝ているブロミアにそっと声をかけました。
「父上、危ないところでしたね。このフォビスが来たからには、乱暴者に悪さはさせません。ご安心ください」
いかにも優しげな声でした。いつもそうです。フォビスはきっと、王である父にへつらっているのです。
ブロミアはそれに気づいているのか、いないのか、嬉しそうな声を出しました。
「さすがは自慢の息子だ。どこぞの猿とは出来が違うわ」
「なんだとッ」
遠回しに罵られたピスティは、今度は腹の底から怒りを吐き出しました。自分声が、まるで雷のようでした。
「侮辱は許さないッ」
意識が戻った瞬間、ころりと硬いものが落ちる音がしました。
床に視線を落とすと、石が転がっていました。
さっき手に痛みが走ったのは、この石が当たったからでしょう。
いったい、誰が石なんか投げたんだろうと目をあげると――。
部屋の入口に、兄の姿がありました。
生っ白い肌に、縮れた髪。剃刀で紙を裂いたかのような薄い目には、嘲りの色が浮かんでいます。
兄の名はフォビスメノス。名前が長いので、普段はフォビスと呼ばれています。
「おまえのやろうとしたことは謀反だよ」
のっぺりとした顔には表情ひとつ浮かべず、兄のフォビスは言いました。
フォビスはピスティに目をくれながらベッドに近寄ると、寝ているブロミアにそっと声をかけました。
「父上、危ないところでしたね。このフォビスが来たからには、乱暴者に悪さはさせません。ご安心ください」
いかにも優しげな声でした。いつもそうです。フォビスはきっと、王である父にへつらっているのです。
ブロミアはそれに気づいているのか、いないのか、嬉しそうな声を出しました。
「さすがは自慢の息子だ。どこぞの猿とは出来が違うわ」
「なんだとッ」
遠回しに罵られたピスティは、今度は腹の底から怒りを吐き出しました。自分声が、まるで雷のようでした。
「侮辱は許さないッ」