ここから始まる物語
第20章 再会、抱擁、功罪
ところで、豊かさとは、本来、自分が満足できていれば、それで済むものです。
しかし当時の人びとは、いつしか豊かさを競うようになっていたのです。自分が満足していても、住んでいる家が他人よりも小さいと、意地を張って、もっと大きな家に住もうと魔法使いにねだって家を大きくしてもらったり、いくら自分が満腹でも、他人より食べる量が少なければ、無理してでも魔法使いに食べ物を出してもらって食べたりといったありさまで、人びとは豊かになることで、どんどん苦しくなっていったのです。
魔法の力によって願いを叶え続けた結果、人びとがどうなっていったかは、国王陛下もご存知の通りです。
人びとは心を喰われ、本能のままに動く、獣にも劣る生き物となってしまいました。いつしか言葉さえも失い、人びとは争いに身を投じていったのです。
しかしある時、遠い東の国から、一人の僧侶がやってきたのです。
魔法使いは、その僧侶も誘惑しました。願いごとを叶えて、幸せにならないか、と――。
しかし、僧侶はそれを断りました。僧侶は、誘いをかけたその乙女こそが魔法使いであり、アウィーコートの惨状の原因だと見抜いたのです。
僧侶は、アウィーコートを救おうと考えました。その方法は、国王陛下もご存知の通りです。
僧侶は、傷つきながらも人びとに友愛を示し、一人ひとりの理性を取り戻させていったのです。
やがて、アウィーコート王国は元に戻りました。
もともと魔法使いは、人間の心を喰う怪物です。人間が喜ぶ気持ちを喰うのです。それなので、みんなが正気に戻ると、魔法使いの力も弱まりました。
しかし当時の人びとは、いつしか豊かさを競うようになっていたのです。自分が満足していても、住んでいる家が他人よりも小さいと、意地を張って、もっと大きな家に住もうと魔法使いにねだって家を大きくしてもらったり、いくら自分が満腹でも、他人より食べる量が少なければ、無理してでも魔法使いに食べ物を出してもらって食べたりといったありさまで、人びとは豊かになることで、どんどん苦しくなっていったのです。
魔法の力によって願いを叶え続けた結果、人びとがどうなっていったかは、国王陛下もご存知の通りです。
人びとは心を喰われ、本能のままに動く、獣にも劣る生き物となってしまいました。いつしか言葉さえも失い、人びとは争いに身を投じていったのです。
しかしある時、遠い東の国から、一人の僧侶がやってきたのです。
魔法使いは、その僧侶も誘惑しました。願いごとを叶えて、幸せにならないか、と――。
しかし、僧侶はそれを断りました。僧侶は、誘いをかけたその乙女こそが魔法使いであり、アウィーコートの惨状の原因だと見抜いたのです。
僧侶は、アウィーコートを救おうと考えました。その方法は、国王陛下もご存知の通りです。
僧侶は、傷つきながらも人びとに友愛を示し、一人ひとりの理性を取り戻させていったのです。
やがて、アウィーコート王国は元に戻りました。
もともと魔法使いは、人間の心を喰う怪物です。人間が喜ぶ気持ちを喰うのです。それなので、みんなが正気に戻ると、魔法使いの力も弱まりました。