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ここから始まる物語

第22章 最後の戦い

【それぞれの決意】
~レナの場合~

「なんだって?」
「私も戦いたい!」
 今度はさっきと違って、力強い声で、レナはそう言いました。その真っ直ぐな視線に、ピスティは胸を貫かれるような気分になりました。ピスティはあえて表情をやわらげ、ピスティの肩にそっと手を置きました。
「大丈夫だよ。僕の怪我はもうすっかり治っている。それに、前の戦いで壊された門も、前より頑丈に作り直されている。心配しなくても、この戦いには勝てるさ」
 レナを心配させないように、ピスティは胸に広がる不安を押し隠しました。しかし、レナの決意は変わりませんでした。
「違うの!」
 レナはピスティの手を振り払いました。
「そうじゃなくて、私は役に立ちたいの! こんなにいいお城で私だけ安全を守られているなんて、嫌なの!」
「嫌だって言っても、きみは僕の妻なんだ。お妃だ。安全にしていても誰も怒りはしないさ」
「怒られるとか怒られないとか、そういう話じゃないの。私が行きたいの!」
「でも・・・・・・」
 魔法が使えなくなってしまったレナは普通の人間と変わりません。体格のいい大男ならまだしも、華奢な少女にすぎないレナを戦場に送るわけにはいきません。もっとも、レナは刃物で殺されることはないのですが、ピスティはそれを知りません。

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