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第22章 最後の戦い

 相手は憎きピスティです。
 フォビスは幼いころから、王族としての教養を身につけ、知識を詰め込み、振る舞いを叩き込んできました。その反対に、ピスティはずっと勉強もしないで遊び回ってばかりいました。
 どうして勉強に励んできた自分が、遊び回っていたピスティに王座を奪われなくてはいけないのでしょうか。あんな野猿の一体どこがいいと国民は思っているのでしょうか。
 それを考えると、フォビスは腹が立ってしかたがないのです。
 さらに、もう一つ腹立たしいことがありました。
 それはレナの存在です。
 教養のある自分ではなく、野蛮なだけの、なんの知識も教養もないピスティに惹かれているのはなぜなのでしょうか。
 どんな方法を使ってでも、ピスティに思い知らさなければやっていられません。
 何より、フォビスはすでにアウィーコート王国を裏切ってしまっているのです。この戦いで負けたら、アウィーコート王国どころか、エカタバガン帝国にも居場所を追われてしまうことになりかねません。
 ――見ていろよ、愚かな弟よ。
 腹の底から湧き上がった怒りが、頬のあたりに引っかかるのをフォビスは感じました。

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