
ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
「どうしたかな、嬢ちゃん」
もしゲンに孫がいれば、このくらいの歳でしょう。そう思うと、自然と気持ちがほぐれます。
「ゲンさん。私たちは何もできないの? ここにいて、じっと戦いが終わるのを待つしかないの?」
「そうじゃのう」
何もできないのか、と言われれば、できない、の一言に尽きます。しかし、少女のあどけない質問は、ただ答えを求めるだけのものには思えませんでした。
見ればわずかに身体を震わせている様子。きっと、怖がっているのでしょう。そして、その恐怖心を紛らわせたいという思いが、さっきの質問には込められていたのではないか、とゲンは考えました。
だとすると、できることはない――という答えは、恐怖に怯える少女に対して、あまりにも冷たい返事です。
そこで、ゲンは答えを捻りだしました。
「儂らにもできることは、もちろんある」
「どんなこと?」
「祈ることじゃ」
「祈る?」
少女は、こくりと首を傾けます。
「神さまにお祈りするの?」
「それもいいが、どうじゃな、今は神さまとは別の、もっと尊い方々にお祈りをしてみては」
「それは、誰なの?」
「別の世界に住まう方々じゃ」
「わからないわ」
「この世界は、誰が作ったのかのう。儂ら人間たちや動物たち、怪物、それに地面や空や月や太陽といったものは、いったい誰が作ったのじゃろう」
「誰が作ったの?」
「わしにも分からんが、きっと作ったものがいるはずじゃ。そして同時に、この世界をご覧くださっている方々もいるはずじゃ。その方々に祈りを捧げてはどうかな」
「楽しそう」
不安げだった少女の顔が、ぱっと明るくなりました。
「では、わしも一緒に祈ろうかのう」
もしゲンに孫がいれば、このくらいの歳でしょう。そう思うと、自然と気持ちがほぐれます。
「ゲンさん。私たちは何もできないの? ここにいて、じっと戦いが終わるのを待つしかないの?」
「そうじゃのう」
何もできないのか、と言われれば、できない、の一言に尽きます。しかし、少女のあどけない質問は、ただ答えを求めるだけのものには思えませんでした。
見ればわずかに身体を震わせている様子。きっと、怖がっているのでしょう。そして、その恐怖心を紛らわせたいという思いが、さっきの質問には込められていたのではないか、とゲンは考えました。
だとすると、できることはない――という答えは、恐怖に怯える少女に対して、あまりにも冷たい返事です。
そこで、ゲンは答えを捻りだしました。
「儂らにもできることは、もちろんある」
「どんなこと?」
「祈ることじゃ」
「祈る?」
少女は、こくりと首を傾けます。
「神さまにお祈りするの?」
「それもいいが、どうじゃな、今は神さまとは別の、もっと尊い方々にお祈りをしてみては」
「それは、誰なの?」
「別の世界に住まう方々じゃ」
「わからないわ」
「この世界は、誰が作ったのかのう。儂ら人間たちや動物たち、怪物、それに地面や空や月や太陽といったものは、いったい誰が作ったのじゃろう」
「誰が作ったの?」
「わしにも分からんが、きっと作ったものがいるはずじゃ。そして同時に、この世界をご覧くださっている方々もいるはずじゃ。その方々に祈りを捧げてはどうかな」
「楽しそう」
不安げだった少女の顔が、ぱっと明るくなりました。
「では、わしも一緒に祈ろうかのう」
