
ここから始まる物語
第5章 対決
風をきってまっすぐに飛んでいった矢は、やはり小気味の良い音を立てて的を射抜きました。
でも、的に当たるだけではいけないのです。射抜いたのが百点の場所でなければ、点数で出遅れてしまいます。
僧侶が的へ駆け寄って、点数を確認しています。
静けさが満ちる中、やがて僧侶が点数を告げました。
「五十点!」
見物人たちが歓声をあげます。さっきと同じように、ピスティを讃える声と口笛の入り交じった、嬉しい歓声でした。でも、さっきとは違う声も、その中には混じっていました。
「兄上のフォビス様の方がお上手でいらっしゃる!」
「ピスティ様もいい腕前だが、フォビス様には及ばないようだ!」
ピスティは、兄と比べられるのが何よりも嫌でした。比べられて、自分が劣っていることを突きつけられるのは、なお嫌でした。
まだ、矢は二本残っています。決着はまだついていません。まだ巻き返すことはできますが、見物人の声と、点数で出遅れたことで、ピスティはすでに焦りを感じていました。
その焦りに、フォビスが追い打ちをかけました。
「残念だったね、ピスティ」
言葉の裏に嘲りの色があるのはあきらかです。胸の中に、どうしようもない怒りがこみ上げてきましたが、ピスティはそれをぐっとこらえました。
※
第二回戦です。
すでに、フォビスが弓に矢をつがえています。
弓を引き絞る音が、ぎりぎりと鳴っています。
あたりに満ちる静けさ。
その静けさが、不意に破られました。
でも、的に当たるだけではいけないのです。射抜いたのが百点の場所でなければ、点数で出遅れてしまいます。
僧侶が的へ駆け寄って、点数を確認しています。
静けさが満ちる中、やがて僧侶が点数を告げました。
「五十点!」
見物人たちが歓声をあげます。さっきと同じように、ピスティを讃える声と口笛の入り交じった、嬉しい歓声でした。でも、さっきとは違う声も、その中には混じっていました。
「兄上のフォビス様の方がお上手でいらっしゃる!」
「ピスティ様もいい腕前だが、フォビス様には及ばないようだ!」
ピスティは、兄と比べられるのが何よりも嫌でした。比べられて、自分が劣っていることを突きつけられるのは、なお嫌でした。
まだ、矢は二本残っています。決着はまだついていません。まだ巻き返すことはできますが、見物人の声と、点数で出遅れたことで、ピスティはすでに焦りを感じていました。
その焦りに、フォビスが追い打ちをかけました。
「残念だったね、ピスティ」
言葉の裏に嘲りの色があるのはあきらかです。胸の中に、どうしようもない怒りがこみ上げてきましたが、ピスティはそれをぐっとこらえました。
※
第二回戦です。
すでに、フォビスが弓に矢をつがえています。
弓を引き絞る音が、ぎりぎりと鳴っています。
あたりに満ちる静けさ。
その静けさが、不意に破られました。
