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第22章 最後の戦い

 フォビスが目の前に迫ったところで、ピスティは剣を振り上げました。それを、フォビスの額めがけて思い切り振り下ろします。
 が、その動きは読まれていたようです。フォビスは剣を水平に構えると、ピスティの剣を受け止めました。
 がきん、という重い金属音が響きます。
 ピスティも、こんな大ぶりな動きでフォビスを仕留められるとは、最初から思っていませんでした。勝負は受け止められてからです。
 ピスティは、フォビスの守りを力づくで押し切ろうと剣に体重をかけます。
 フォビスもよほど力を込めている様子。歯茎を覗かせて唸り声をあげています。
 やがて、フォビスは耐えられなくなったのでしょうか。剣を斜めにして、ピスティの剣を受け流しました。
 ピスティは体重をかけていたぶん、つんめって空足を踏みます。その間に、フォビスが後ろへまわりました。
 ピスティは体勢を立て直しつつ、素早く体を反転させて、後ろにいるフォビスに向かって剣をひと薙ぎしました。
 ピスティの予想通りでした。フォビスは、背中を見せたピスティに斬りかかろうとしていたところだったのです。しかしピスティが剣を薙いだおかげで、フォビスは後ろに飛び退きました。
 どうやら、お互いにどんな考えで守り、あるいは攻めるのかを知り尽くしているようです。となれば、もう技も構えもありません。
 力の限り戦うのみです。
 ピスティは力の限り剣を振り回しました。縦に横にとフォビスに斬りかかります。もう、周りが森であることなど関係なくなっていました。足に絡みつく茂みは蹴散らし、腕に引っかかる枝はへし折り、視界を覆う葉はなぎ払い、しゃにむにフォビスを攻め立てます。

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