
ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
ぼんやりとしていた頭が、急に冴え渡ります。
「その声は――」
ピスティが振り向くと、そこには白い衣の上に鎧をまとった少女の姿がありました。
「――レナ!」
ピスティが、はじめて深く求めた異性です。
レナは自らが武装しているばかりか、なぜか多くの庶民を引き連れています。
「なんでそんな格好でここにいるんだ」
ピスティが問いかけましたが、レナはそれには答えず、
「説明は後よ! これを受け取って!」
と自らが握っていた剣を、ピスティに放り投げたのでした。
剣はくるくると回転しながら、切り結ぶ兵士の頭上を飛び越え、ピスティの手許に落ちてきました。
ピスティはそれをしっかりと受け取りました。
頭が冴え渡ります。
「なんで、僕はこんな奴の言葉に惑わされていたんだろう」
さっきまで、自分は何を馬鹿なことで迷っていたのだろう――そんな気持ちが湧いてきます。
ピスティは、フォビスを睨みつけました。
フォビスも、こちらを睨んでいます。そして、心なしか、舌打ちをしたようにピスティには見えました。
この男は、実の兄であるとはいえ、さんざんピスティを蔑んできた男です。どんな甘い言葉をかけられようと、信じるわけにはいきません。
それに、まわりでは兵士たちが必死になって戦っているのです。そんな彼らを見捨てることは、やっぱりピスティにはできませんでした。彼らを助けることで、ピスティが得られるものは確かに少ないでしょう。ですが、多い少ないの問題ではありません。どんなに少なくても、彼らにしかない、かけがえのない価値があるのです。それを失うことの方が、ピスティにとってはよほど損だし、悔しいことです。何より、理由などない、説明のつかない気持ちが確かにあって、それがピスティをふたたび奮い立たせたのでした。
「その声は――」
ピスティが振り向くと、そこには白い衣の上に鎧をまとった少女の姿がありました。
「――レナ!」
ピスティが、はじめて深く求めた異性です。
レナは自らが武装しているばかりか、なぜか多くの庶民を引き連れています。
「なんでそんな格好でここにいるんだ」
ピスティが問いかけましたが、レナはそれには答えず、
「説明は後よ! これを受け取って!」
と自らが握っていた剣を、ピスティに放り投げたのでした。
剣はくるくると回転しながら、切り結ぶ兵士の頭上を飛び越え、ピスティの手許に落ちてきました。
ピスティはそれをしっかりと受け取りました。
頭が冴え渡ります。
「なんで、僕はこんな奴の言葉に惑わされていたんだろう」
さっきまで、自分は何を馬鹿なことで迷っていたのだろう――そんな気持ちが湧いてきます。
ピスティは、フォビスを睨みつけました。
フォビスも、こちらを睨んでいます。そして、心なしか、舌打ちをしたようにピスティには見えました。
この男は、実の兄であるとはいえ、さんざんピスティを蔑んできた男です。どんな甘い言葉をかけられようと、信じるわけにはいきません。
それに、まわりでは兵士たちが必死になって戦っているのです。そんな彼らを見捨てることは、やっぱりピスティにはできませんでした。彼らを助けることで、ピスティが得られるものは確かに少ないでしょう。ですが、多い少ないの問題ではありません。どんなに少なくても、彼らにしかない、かけがえのない価値があるのです。それを失うことの方が、ピスティにとってはよほど損だし、悔しいことです。何より、理由などない、説明のつかない気持ちが確かにあって、それがピスティをふたたび奮い立たせたのでした。
