
ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
「はい、アビナモスさま。どうか私をお守りください」
縋るような声に、アビナモスは心を刺激されました。
「任せておけ」
アビナモスはコーリーの手を取って、テントの裾を捲りあげると外へ出ました。
※
コーリーは、心の中でほくそ笑んでいました。敵とはいえ、将軍ともあろう者が、あっさりと自分の魅力の虜になってしまったからです。
とはいえ、コーリーは戦うことはできません。このままアビナモスについて行ってしまえば、本当にエカタバガン帝国へ行かなくてはならなくなってしまいます。が、本音ではエカタバガン帝国になんて行きたいとは思いません。
コーリーの役割は、あくまで敵の動きを鈍くさせること。その役割は、アビナモスとフォビスを仲違いさせたことで、すでに終えていると言えるでしょう。
役割を終えた今、どうやってアウィーコートに帰るか、それだけが問題でした。
コーリーは、アウィーコートに帰る方法を考えつつ、アビナモスに従ってテントを出ました。
外は鬱蒼とした森になっています。腰から下は、茂みに埋もれてしまって、まるで草の海の中を歩いているような感覚です。
「頭をあげるな」
アビナモスは、コーリーの頭を抑えつつ、自分もしゃがみ込みました。なるほど、茂みから頭を出さなければ、見つかることはないでしょう。
まわりからは、剣のぶつかり合う音や怒鳴り声などが切れ間なく響いてきます。
時には、傷を負った兵士が、目の前に倒れ込んでくることもありました。
それでも声を出さずに、コーリーとアビナモスは、しゃがみこんだ体勢のままで、ゆっくりと森の中を移動していきます。
そうして、どのくらいたったでしょう。ずっとしゃがみこんだまま進んでいたせいで、足腰が痛み始めた頃です。
縋るような声に、アビナモスは心を刺激されました。
「任せておけ」
アビナモスはコーリーの手を取って、テントの裾を捲りあげると外へ出ました。
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コーリーは、心の中でほくそ笑んでいました。敵とはいえ、将軍ともあろう者が、あっさりと自分の魅力の虜になってしまったからです。
とはいえ、コーリーは戦うことはできません。このままアビナモスについて行ってしまえば、本当にエカタバガン帝国へ行かなくてはならなくなってしまいます。が、本音ではエカタバガン帝国になんて行きたいとは思いません。
コーリーの役割は、あくまで敵の動きを鈍くさせること。その役割は、アビナモスとフォビスを仲違いさせたことで、すでに終えていると言えるでしょう。
役割を終えた今、どうやってアウィーコートに帰るか、それだけが問題でした。
コーリーは、アウィーコートに帰る方法を考えつつ、アビナモスに従ってテントを出ました。
外は鬱蒼とした森になっています。腰から下は、茂みに埋もれてしまって、まるで草の海の中を歩いているような感覚です。
「頭をあげるな」
アビナモスは、コーリーの頭を抑えつつ、自分もしゃがみ込みました。なるほど、茂みから頭を出さなければ、見つかることはないでしょう。
まわりからは、剣のぶつかり合う音や怒鳴り声などが切れ間なく響いてきます。
時には、傷を負った兵士が、目の前に倒れ込んでくることもありました。
それでも声を出さずに、コーリーとアビナモスは、しゃがみこんだ体勢のままで、ゆっくりと森の中を移動していきます。
そうして、どのくらいたったでしょう。ずっとしゃがみこんだまま進んでいたせいで、足腰が痛み始めた頃です。
