
ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
「どうしてこんな所にいるだ。攫われただか」
というライの質問に、コーリーがどう答えるかが分かれ目です。その答え次第で、アビナモスは助かりもするし、殺されもします。
アビナモスは、じっとコーリーを見つめるしかありませんでした。しかし、自分を信じてついてきてくれた美女を、アビナモスは疑っていませんでした。「ともに」と言った時の、あの表情に、偽りがあるとは思えません。ところが――。
「ライさま。そうなのです。私はこの男に攫われたのです」
とコーリーは悲しげに訴えると、人差し指をアビナモスに向けたのでした。
「コーリー! 裏切るのか!」
あまりのことに、アビナモスが怒鳴りつけると、コーリーは一瞬だけ、冷たい視線をアビナモスに向けました。
が、すぐにもとの清楚な美女の姿を取り戻すと、ライに歩み寄り、さらに訴えたのです。
「ライさま。私はアウィーコートの人間です。このままだったら、エカタバガン帝国へ連れていかれるところでした。どうかお助けください」
なんということでしょう。
アウィーコートから逃れ、「ともに」と、あれほど切実に訴えていた女が、最後の最後に裏切るだなんて・・・・・・。
コーリーのために、アビナモスはパンを分け与え、補佐役を務めていたフォビスを遠ざけ、ここまで共に逃げてきたのです。
何より、若さを失って誰からも見向きもされなくなったアビナモスにとって、やっと出会えた美女が離れていくことは、とても耐えきれるものではありませんでした。
「くそうッ」
怒りと悔しさの入り混じった激しい思いがこみ上げてきます。コーリーもライも叩き斬ってしまいたいところでしたが、ライのたくましい体つきを見ると、その気力も削げ落ちました。
というライの質問に、コーリーがどう答えるかが分かれ目です。その答え次第で、アビナモスは助かりもするし、殺されもします。
アビナモスは、じっとコーリーを見つめるしかありませんでした。しかし、自分を信じてついてきてくれた美女を、アビナモスは疑っていませんでした。「ともに」と言った時の、あの表情に、偽りがあるとは思えません。ところが――。
「ライさま。そうなのです。私はこの男に攫われたのです」
とコーリーは悲しげに訴えると、人差し指をアビナモスに向けたのでした。
「コーリー! 裏切るのか!」
あまりのことに、アビナモスが怒鳴りつけると、コーリーは一瞬だけ、冷たい視線をアビナモスに向けました。
が、すぐにもとの清楚な美女の姿を取り戻すと、ライに歩み寄り、さらに訴えたのです。
「ライさま。私はアウィーコートの人間です。このままだったら、エカタバガン帝国へ連れていかれるところでした。どうかお助けください」
なんということでしょう。
アウィーコートから逃れ、「ともに」と、あれほど切実に訴えていた女が、最後の最後に裏切るだなんて・・・・・・。
コーリーのために、アビナモスはパンを分け与え、補佐役を務めていたフォビスを遠ざけ、ここまで共に逃げてきたのです。
何より、若さを失って誰からも見向きもされなくなったアビナモスにとって、やっと出会えた美女が離れていくことは、とても耐えきれるものではありませんでした。
「くそうッ」
怒りと悔しさの入り混じった激しい思いがこみ上げてきます。コーリーもライも叩き斬ってしまいたいところでしたが、ライのたくましい体つきを見ると、その気力も削げ落ちました。
