
ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
「そうだ。俺がアビナモスだ。エカタバガン軍の将軍だ。いいか、少しでも俺を傷つけてみろ。エカタバガンの皇帝が黙ってはいないぞ」
もちろん、そんなことはありません。皇帝は、とっくにアビナモスのことなど見放しています。けれども、そうとでも言わなければ、すぐに喉笛を切り裂かれてしまうと思ったのです。
「うるさい! どんなに大軍が攻めてきても、われわれは負けたりしない! だから、おまえを斬ることも恐れはしない!」
このピスティという少年は、よほど腹が据わっているようです。これ以上何を言っても無駄でしょう。
アビナモスは覚悟を決めて、目を瞑りました。が、その時です。
またしても、森の外から大勢の人間が押し寄せてくる音と声が聞こえてきました。
アビナモスが片目を開けてそちらを見ると――。
なんと、味方の兵士たちが押し寄せてきているではありませんか。食糧を守るために離れていた兵士たちが、やっと戻ってきたようです。
アビナモスは、戻ってきた兵士たちに大声で命令を下しました。
「おまえたち! 俺が殺されたら、すぐにこの森に火をつけろ。それで、アウィーコートの兵士も王も庶民も、みんな殺してしまえ!」
※
ピスティは奥歯を噛み締めました。
このままアビナモスの喉を突いてしまえば、森ごと焼き殺されてしまいます。ピスティだけではありません。レナもライも、兵士も義勇兵たちも、みんな焼き殺されてしまうのです。
もちろん、そんなことはありません。皇帝は、とっくにアビナモスのことなど見放しています。けれども、そうとでも言わなければ、すぐに喉笛を切り裂かれてしまうと思ったのです。
「うるさい! どんなに大軍が攻めてきても、われわれは負けたりしない! だから、おまえを斬ることも恐れはしない!」
このピスティという少年は、よほど腹が据わっているようです。これ以上何を言っても無駄でしょう。
アビナモスは覚悟を決めて、目を瞑りました。が、その時です。
またしても、森の外から大勢の人間が押し寄せてくる音と声が聞こえてきました。
アビナモスが片目を開けてそちらを見ると――。
なんと、味方の兵士たちが押し寄せてきているではありませんか。食糧を守るために離れていた兵士たちが、やっと戻ってきたようです。
アビナモスは、戻ってきた兵士たちに大声で命令を下しました。
「おまえたち! 俺が殺されたら、すぐにこの森に火をつけろ。それで、アウィーコートの兵士も王も庶民も、みんな殺してしまえ!」
※
ピスティは奥歯を噛み締めました。
このままアビナモスの喉を突いてしまえば、森ごと焼き殺されてしまいます。ピスティだけではありません。レナもライも、兵士も義勇兵たちも、みんな焼き殺されてしまうのです。
