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第22章 最後の戦い

 風のような速さで進んだ神の軍隊は、あっという間に森の近くへ到着しました。
 そして、そこに集結していたエカタバガンの兵士たちを蹴散らし始めたのです。
 まるで羊の群れに虎が飛び込んだかのような戦いぶりでした。
 金色の剣で敵を叩き斬り、大きな足で踏みつけ、まるで草でも刈っているかのようにやすやすと敵を倒していくのです。
 その一方で、エカタバガン軍からの攻撃は一切通じませんでした。剣で斬りつけようが槍で突き刺そうが、それらの武器は神々の体をすり抜けてしまうのです。まるで空気を切っているかのよう。
 神は祈りが形となって表れたもの。だから、敵からの攻撃は無効となってしまうのです。
 国民を守りたい、というクリシーの祈りには、そのためなら敵を始末したい、という思いも込められていたので、神の攻撃だけが一方的に効くのです。
 エカタバガン軍の兵士たちは、自分たちの攻撃が一切通じないせいか、恐れをなしている様子でした。はじめこそ懸命に戦いを挑んでいましたが、やがて戦うことすらも投げ出して、逃げ散っていく始末です。それぞれの司令官が、逃げてはならないと命令を出しているのにも関わらず、兵士たちは言うことをききません。
 エカタバガン軍がばらばらになると、その内側から、勇ましい声が聞こえてきました。
 えい、やあ、といった掛け声とともに、エカタバガンの兵士が倒れ、または吹き飛ばされていきます。
 やがてエカタバガンの兵士の間から、その掛け声を発している者の姿が見えてきました。
 それは間違いなく、ピスティでした。
 ほかにも、レナやライや義勇兵たち、それからアウィーコートの兵士たちの姿も見えます。

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