ここから始まる物語
第22章 最後の戦い
「わ、わかった。誓う」
アビナモスはひどく震えた声でそう返事をすると、その場に膝をついて、誓いの言葉を口にしました。
「もう、これからはアウィーコートには手をつけない。約束する」
敵とはいえ、大勢の味方に囲まれて震えている姿を見ると、どことなく哀れです。そんな相手をあえて斬り殺すことは、ピスティにはできませんでした。
「いいだろう。今は許す。だが忘れない。もしも、また攻めてきたら、今度こそお前の命を――」
急に息が詰まって、ピスティは声を出せなくなってしまいました。
というのも、すっかり怯えているかのように見えたアビナモスが、突然、思いもしない動きに出たからでした。
膝をついて畏まっていたアビナモスは、かかとのあたりから短剣を取り出すと、それでピスティの顔をめがけて斬りかかってきたのです。
あまりに突然のことだったし、体力も判断力も弱っていたピスティは、それをかわすことができませんでした。痛みを感じる覚悟をする暇さえなかったほどです。
ところが、もう駄目かと思った瞬間、黒い影が、視界を横切りました。それと同時に、
「ぐうッ」
アビナモスは呻き語をあげて、その場に倒れてしまいました。見れば、その喉元には、見たこともない、十字型の刃物が突き刺さっています。
いったい何が起きたのか、わかりませんでした。しかし、
「油断大敵」
という短い言葉を聞いて、すぐに理解しました。
フウです。
フウが、咄嗟にアビナモスの息の根を止めたのでした。
「フウ、ありがとう。助かったよ」
ピスティは、やっとの思いでそう言いました。
もう、本当に力は使い果たしてしまいました。
アビナモスはひどく震えた声でそう返事をすると、その場に膝をついて、誓いの言葉を口にしました。
「もう、これからはアウィーコートには手をつけない。約束する」
敵とはいえ、大勢の味方に囲まれて震えている姿を見ると、どことなく哀れです。そんな相手をあえて斬り殺すことは、ピスティにはできませんでした。
「いいだろう。今は許す。だが忘れない。もしも、また攻めてきたら、今度こそお前の命を――」
急に息が詰まって、ピスティは声を出せなくなってしまいました。
というのも、すっかり怯えているかのように見えたアビナモスが、突然、思いもしない動きに出たからでした。
膝をついて畏まっていたアビナモスは、かかとのあたりから短剣を取り出すと、それでピスティの顔をめがけて斬りかかってきたのです。
あまりに突然のことだったし、体力も判断力も弱っていたピスティは、それをかわすことができませんでした。痛みを感じる覚悟をする暇さえなかったほどです。
ところが、もう駄目かと思った瞬間、黒い影が、視界を横切りました。それと同時に、
「ぐうッ」
アビナモスは呻き語をあげて、その場に倒れてしまいました。見れば、その喉元には、見たこともない、十字型の刃物が突き刺さっています。
いったい何が起きたのか、わかりませんでした。しかし、
「油断大敵」
という短い言葉を聞いて、すぐに理解しました。
フウです。
フウが、咄嗟にアビナモスの息の根を止めたのでした。
「フウ、ありがとう。助かったよ」
ピスティは、やっとの思いでそう言いました。
もう、本当に力は使い果たしてしまいました。