ここから始まる物語
第6章 出逢い
少女は腰に手を当てて、いかにも得意げな顔をしています。
「それは――」
言い返そうとしましたが、言葉が見つかりません。
――そういえば。
ピスティは、思い出しました。気を失う前は、次の王を決めるための儀式を行っていたことを。
その最中に大きな狼があらわれて、見物人が襲われて、見物人を助けるために、ピスティは自分が囮になって狼の気を引いて、そして――。
ピスティは崖から落ちてしまったのです。
記憶はそこで途切れています。気づいたらこの部屋の中にいたのでした。
あの高さの崖から落ちたのです。命を落としてもおかしくありませんでした。たとえ命が助かったとしても、今ごろ身体じゅう包帯だらけで、身動きすることさえできなかったはずです。
ところが、ピスティは怪我ひとつ負っていません。
これがどうしてなのか、ピスティにはわかりませんでした。
「私が助けてあげたから、あなたは助かったのよ。わかった?」
ピスティが答えあぐねているのを見越してか、少女はまた威張りました。
小生意気な態度は鼻につきましたが、本当に助けてくれたのならお礼を言わなくてはなりません。
「ありがとう」
ピスティはぼそっとそう言ってから、すぐに話をすり替えました。
「それにしても、本当にきみは、いったい何者なんだい」
「それは――」
言い返そうとしましたが、言葉が見つかりません。
――そういえば。
ピスティは、思い出しました。気を失う前は、次の王を決めるための儀式を行っていたことを。
その最中に大きな狼があらわれて、見物人が襲われて、見物人を助けるために、ピスティは自分が囮になって狼の気を引いて、そして――。
ピスティは崖から落ちてしまったのです。
記憶はそこで途切れています。気づいたらこの部屋の中にいたのでした。
あの高さの崖から落ちたのです。命を落としてもおかしくありませんでした。たとえ命が助かったとしても、今ごろ身体じゅう包帯だらけで、身動きすることさえできなかったはずです。
ところが、ピスティは怪我ひとつ負っていません。
これがどうしてなのか、ピスティにはわかりませんでした。
「私が助けてあげたから、あなたは助かったのよ。わかった?」
ピスティが答えあぐねているのを見越してか、少女はまた威張りました。
小生意気な態度は鼻につきましたが、本当に助けてくれたのならお礼を言わなくてはなりません。
「ありがとう」
ピスティはぼそっとそう言ってから、すぐに話をすり替えました。
「それにしても、本当にきみは、いったい何者なんだい」