ここから始まる物語
第8章 企みの底で
「その手紙に対して、アウィーコートからはすでに返事を出してある。――謝るのならばそれ以上は責めない、とね。それなのにおまえは――」
フォビスは、人差し指の先をピスティに突きつけました。
「おまえは――勝手にエカタバガンの軍を攻撃してしまった。エカタバガンが怒るのも当然だよ」
「そんな――」
――そんなそんなそんな。
身体の震えが止まりません。
「ところで父上」
フォビスは、急にベッドに寝ているブロミアに話しかけました。
「なんだ」
ブロミアは、優しい声で返事をしました。ピスティに向かっては、決して出さない声です。
「父上、勝手に敵の軍隊に手を出して戦争になってしまった場合、手を出したものはどんな罰を受けることになるのでしょう」
するとブロミアは、さも嬉しそうな声で、一言、
「死罪」
と言いました。ブロミアの目やにだらけの目が見開き、ぎょろりとピスティを睨みます。
「そんなのは嘘だ!」
ピスティは怒鳴りました。怒鳴らずにはいられませんでした。
「手紙が届いただって? そんな話は知らない! 僕を陥れるための嘘だ!」
「手紙が届いたことを知らないだって? 当然さ。おまえはいつも、城の外で遊び回っているんだからね」
ピスティはぎょっとしました。外で遊び回っていることが、本当だからです。
本当であるどころか、城から出て遊び回っている自分の方が、城にこもって「お勉強」ばかりしているフォビスよりも、たくさんの世界を見聞きしていると、こっそり自慢に思ってさえいました。
フォビスは、人差し指の先をピスティに突きつけました。
「おまえは――勝手にエカタバガンの軍を攻撃してしまった。エカタバガンが怒るのも当然だよ」
「そんな――」
――そんなそんなそんな。
身体の震えが止まりません。
「ところで父上」
フォビスは、急にベッドに寝ているブロミアに話しかけました。
「なんだ」
ブロミアは、優しい声で返事をしました。ピスティに向かっては、決して出さない声です。
「父上、勝手に敵の軍隊に手を出して戦争になってしまった場合、手を出したものはどんな罰を受けることになるのでしょう」
するとブロミアは、さも嬉しそうな声で、一言、
「死罪」
と言いました。ブロミアの目やにだらけの目が見開き、ぎょろりとピスティを睨みます。
「そんなのは嘘だ!」
ピスティは怒鳴りました。怒鳴らずにはいられませんでした。
「手紙が届いただって? そんな話は知らない! 僕を陥れるための嘘だ!」
「手紙が届いたことを知らないだって? 当然さ。おまえはいつも、城の外で遊び回っているんだからね」
ピスティはぎょっとしました。外で遊び回っていることが、本当だからです。
本当であるどころか、城から出て遊び回っている自分の方が、城にこもって「お勉強」ばかりしているフォビスよりも、たくさんの世界を見聞きしていると、こっそり自慢に思ってさえいました。