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第8章 企みの底で

 その自慢が、完全に裏目に出てしまったようです。
 ピスティは、奥歯を噛み締めました。
 死罪になってしまうのでしょうか。
 だとしても、命乞いをする気にはなれませんでした。父であり、王でもあるブロミアのご機嫌うかがいをしてばかりの、この憎らしい兄に頭を下げるくらいなら、死んだ方がましです。
 ピスティは死罪を受け入れる覚悟を決めました。が、フォビスは意外なことを言い出したのでした。
「本当は死罪だけど、おまえも一応は家族だからね。死罪を免れるチャンスをあげるよ」
「チャンス?」
「そうだよ。おまえに兵士を預ける。それでエカタバガン軍と戦うんだ」
「そんなの無理だ! たとえアウィーコートの軍をみんな率いたとしても、エカタバガン軍を倒せるわけがない!」
「まあまあ、そう怒ることはないよ」
 フォビスは、いやらしく口許を歪めます。
「いいかい。私は戦えと言ったんだ。なにも倒す必要はないんだよ」
「どういうことだ」
「時間を稼げ、と言っているんだよ。その間に、私はアマヤイシン国に使者としておもむく」
 アマヤイシン国とは、エカタバガン帝国と並ぶ大きな国です。ピスティたちのアウィーコート王国は、エカタバガン帝国とアマヤイシン国に挟まれているのです。
「アマヤイシンの助けがあれば、エカタバガン軍を押し返すことができるはずだよ。どうだい、ピスティ。援軍が来るまでの時間稼ぎの戦い、やるかい、それとも、やらないかい?」
 これは意地悪な質問です。断れば死罪ですから、引き受けるしかありません。

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