ここから始まる物語
第9章 アウィーコート大戦役
「みんな、周りにある建物を壊すんだ」
それが、はじめにやるべきことでした。
ゲンが言っていたのです。
まずは、守備門の近くにある建物を壊して、レンガを道に撒いてくだされ――。
しかし兵士たちは、すぐには命令に従いませんでした。みんな顔を見合わせて、ためらっているようです。兵士たちがどうしてためらっているのか、ピスティには察することができました。
「みんな、大丈夫だ。建物を壊しても、エカタバガン軍を追い返したあとに必ず立て直すことを約束するから。今は僕を信じてくれ」
すると兵士たちは、顔をぱっと明るくして、
「はい!」
とすぐに動き出しました。
五十人の兵士たちは、手近にある建物に散らばっていくと、鍵を打ち壊して中に入りこんでいきました。そんな彼らに、ピスティはさらに命令を加えました。
「壊してもいいのは、二階以上ある建物だけだ。壊す部分も二階より上だけにするんだ。一階部分は壊してはいけない」
それも、ゲンが言っていたことでした。
兵士たちはきちんとピスティの命令に従っています。数ある建物の、二階より上の階からガンガンという激しい音が聞こえたかと思うと、やがて壁が砕けて、レンガの破片が次々と道にばら撒かれていきます。
それと同時でした。
壁が砕けるよりも大きな音が、響き始めました。
ドーンドーンという、巨大な太鼓を叩くような音です。地震かと思うほど、その音は空気を震わせました。
音に合わせて、守備門が内側に向かって凹んでいます。
ついに、エカタバガン軍が攻撃を始めたのです。きっと、大きな鉄の玉か鉄の棒で、門を突き破ろうとしているのでしょう。
守備門の歪み具合を見ると、いつ破壊されてもおかしくありません。
「構え!」
それが、はじめにやるべきことでした。
ゲンが言っていたのです。
まずは、守備門の近くにある建物を壊して、レンガを道に撒いてくだされ――。
しかし兵士たちは、すぐには命令に従いませんでした。みんな顔を見合わせて、ためらっているようです。兵士たちがどうしてためらっているのか、ピスティには察することができました。
「みんな、大丈夫だ。建物を壊しても、エカタバガン軍を追い返したあとに必ず立て直すことを約束するから。今は僕を信じてくれ」
すると兵士たちは、顔をぱっと明るくして、
「はい!」
とすぐに動き出しました。
五十人の兵士たちは、手近にある建物に散らばっていくと、鍵を打ち壊して中に入りこんでいきました。そんな彼らに、ピスティはさらに命令を加えました。
「壊してもいいのは、二階以上ある建物だけだ。壊す部分も二階より上だけにするんだ。一階部分は壊してはいけない」
それも、ゲンが言っていたことでした。
兵士たちはきちんとピスティの命令に従っています。数ある建物の、二階より上の階からガンガンという激しい音が聞こえたかと思うと、やがて壁が砕けて、レンガの破片が次々と道にばら撒かれていきます。
それと同時でした。
壁が砕けるよりも大きな音が、響き始めました。
ドーンドーンという、巨大な太鼓を叩くような音です。地震かと思うほど、その音は空気を震わせました。
音に合わせて、守備門が内側に向かって凹んでいます。
ついに、エカタバガン軍が攻撃を始めたのです。きっと、大きな鉄の玉か鉄の棒で、門を突き破ろうとしているのでしょう。
守備門の歪み具合を見ると、いつ破壊されてもおかしくありません。
「構え!」