ここから始まる物語
第9章 アウィーコート大戦役
その間に作戦を考えれば、罠にはまらず、確実にアウィーコート王国など攻め滅ぼすことができるでしょう。
そう考えて、斥候を呼ぼうと考えた時です。
「将軍さま!」
兵士の一人が声をあげました。見ると、槍を持った一人の騎兵がこちらを見ていました。きりっとした眉の、凛々しい男でした。
「早く攻め込みましょう! 相手はガキ一人じゃないですか。何を怖がることがあるんですか」
「怖がっているわけじゃない。罠が張ってあるかもしれないんだ。うかつに進むわけにはいかない」
「そうですか? しかし、アウィーコート王国は、アマヤイシン国に援軍を求めているそうですよ」
「なんだって?」
アマヤイシンは、エカタバガンと並ぶ大きな国です。そのアマヤイシンが乗り出してくるとなると、もたもたしてはいられません。アウィーコートを攻め滅ぼすなら、アマヤイシンの軍隊が動き出す前でなくてはなりません。そうでなくては、アマヤイシンと戦うことになってしまうからです。
そうなっては、アビナモスの立場がありません。自分から総大将に名乗り出たのに、アウィーコートを攻め滅ぼせないのでは、皇帝に合わせる顔がありません。かといって、すごすごと引き返すわけにもいきません。やはり皇帝の怒りを買ってしまう羽目になります。
どっちにしても立場がなくなるなら、もう進むしかありません。
「進撃開始!」
半分やぶれかぶれな気持ちになって、アビナモスはとうとう号令を下しました。兵士たちはいっせいに、足並みを揃えて、アウィーコートの城下町に攻め込んでいったのでした。
しかし、アビナモスは気づいていませんでした。声をかけてきた騎兵が、にやりと笑って、白い仮面を顔につけたことを・・・・・・。
※
ピスティは気を引き締めました。
そう考えて、斥候を呼ぼうと考えた時です。
「将軍さま!」
兵士の一人が声をあげました。見ると、槍を持った一人の騎兵がこちらを見ていました。きりっとした眉の、凛々しい男でした。
「早く攻め込みましょう! 相手はガキ一人じゃないですか。何を怖がることがあるんですか」
「怖がっているわけじゃない。罠が張ってあるかもしれないんだ。うかつに進むわけにはいかない」
「そうですか? しかし、アウィーコート王国は、アマヤイシン国に援軍を求めているそうですよ」
「なんだって?」
アマヤイシンは、エカタバガンと並ぶ大きな国です。そのアマヤイシンが乗り出してくるとなると、もたもたしてはいられません。アウィーコートを攻め滅ぼすなら、アマヤイシンの軍隊が動き出す前でなくてはなりません。そうでなくては、アマヤイシンと戦うことになってしまうからです。
そうなっては、アビナモスの立場がありません。自分から総大将に名乗り出たのに、アウィーコートを攻め滅ぼせないのでは、皇帝に合わせる顔がありません。かといって、すごすごと引き返すわけにもいきません。やはり皇帝の怒りを買ってしまう羽目になります。
どっちにしても立場がなくなるなら、もう進むしかありません。
「進撃開始!」
半分やぶれかぶれな気持ちになって、アビナモスはとうとう号令を下しました。兵士たちはいっせいに、足並みを揃えて、アウィーコートの城下町に攻め込んでいったのでした。
しかし、アビナモスは気づいていませんでした。声をかけてきた騎兵が、にやりと笑って、白い仮面を顔につけたことを・・・・・・。
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ピスティは気を引き締めました。