ここから始まる物語
第9章 アウィーコート大戦役
もちろん、ピスティも黙ってはいません。どうせここで殺されるはずだったのです。味方だけに戦わせるなんて真似はしません。みずからも、剣を抜いてエカタバガン軍の中へ身を踊らせます。
そして、近くにいる敵を、片っ端から切り倒していきました。敵は重い鎧を着ているので、肘や首など、隙間を見つけては、そこへ剣を滑り込ませて切りつけます。
普段のピスティなら、こんな慎重な戦い方はできません。細かいことが嫌いなのです。でも、今はそんなことは言っていられません。嫌でもなんでも、敵を倒すしかないのです。
敵が反撃してくることはありませんでした。火だるまになった歩兵と、その歩兵に邪魔されている騎兵は、戦うどころではなかったのです。歩兵は火を消すのに必死で、騎兵は馬を操るのにやっとです。だから、ピスティも、仲間の五十人の兵士も、そしてライも、傷一つ負わずに、敵を倒していくことができたのです。
でも、いつまでもそんな戦い方ができるわけではありませんでした。
土煙と汗と息と血と、怒鳴り声と悲鳴と馬のいななきにまみれて戦いにのめり込んでいると、急に、ひゅっという甲高い音が聞こえてきました。その音は何度も何度も聞こえてきました。
つづいて、兵士たちの悲鳴。敵と言わず味方と言わず、兵士が次々に体をのけ反らせては悲鳴をあげ、その場に倒れていきます。
矢でした。
矢が、雨のように降り注いでくるのです。放っているのは、エカタバガン軍でした。後ろに詰まっている兵士が、矢を放っているのです。
そして、近くにいる敵を、片っ端から切り倒していきました。敵は重い鎧を着ているので、肘や首など、隙間を見つけては、そこへ剣を滑り込ませて切りつけます。
普段のピスティなら、こんな慎重な戦い方はできません。細かいことが嫌いなのです。でも、今はそんなことは言っていられません。嫌でもなんでも、敵を倒すしかないのです。
敵が反撃してくることはありませんでした。火だるまになった歩兵と、その歩兵に邪魔されている騎兵は、戦うどころではなかったのです。歩兵は火を消すのに必死で、騎兵は馬を操るのにやっとです。だから、ピスティも、仲間の五十人の兵士も、そしてライも、傷一つ負わずに、敵を倒していくことができたのです。
でも、いつまでもそんな戦い方ができるわけではありませんでした。
土煙と汗と息と血と、怒鳴り声と悲鳴と馬のいななきにまみれて戦いにのめり込んでいると、急に、ひゅっという甲高い音が聞こえてきました。その音は何度も何度も聞こえてきました。
つづいて、兵士たちの悲鳴。敵と言わず味方と言わず、兵士が次々に体をのけ反らせては悲鳴をあげ、その場に倒れていきます。
矢でした。
矢が、雨のように降り注いでくるのです。放っているのは、エカタバガン軍でした。後ろに詰まっている兵士が、矢を放っているのです。