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第9章 アウィーコート大戦役

 どうしてなのか、わかりません。でも、もしかしたら、故郷を敵に滅ぼされたくない一心なのでしょう。
 ピスティはそう見当をつけると、今度はさっきとは別の言葉を叫びました。
「北東の門に新たな敵が来たぞ! 我と思わんものはそちらへ向かえ!」
 すると、味方のものと思われる声が、いっせいに、
「おう!」
 と掛け声をあげました。そして、いくつかの足音が遠ざかっていくのが聞こえました。
 これで、味方は戦場からいなくなったのかもしれません。
 やがて風が吹いて、戦場を覆う煙が流されていきました。
 少しずつ、景色がはっきりとしていきます。
 そして、すっかり煙が晴れた時、ピスティは絶望してしまいました。
 敵が――態勢を立て直していたのです。

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