ここから始まる物語
第10章 裏切り者
また「裏切り者」です。それは、いったい誰のことなのでしょう。どんな裏切りがあったというのでしょう。
「ここで説明するよりも、ご覧になられた方が早いかと存じます。まずは城へ急ぎましょう」
ゲンはそう言うと、ピスティが疑問を挟むのを許さないといった様子で、民衆に呼びかけました。
「ピスティさまは、これからこの国の王になられる! これからのアウィーコートの発展に、みんな期待してくだされ!」
すると民衆は、またワッと歓声をあげました。
ピスティは、胸を張ることもできず、かといって、謝ることもできず、なんとも居心地の悪い気分になりました。そんなピスティの気持ちを察してか、ゲンが誘いました。
「さあ、お城へ。裏切り者は、すでに引っ捕らえてあります」
果たして、城には何者が捕えられているというのでしょうか。
ピスティは、ゲンに案内されながら、城へと戻りました。
※
城に戻りましたが、そこは決して華やかと言える場所ではありませんでした。
じめじめと湿っていて、薄暗く、虫が壁や天井を這っています。
ここは牢獄。
通路の両脇に、鉄格子のはまった狭い部屋が、いくつも並んでいます。
なるほど、国を裏切った者が閉じ込められるにはふさわしい場所かもしれません。
「いったい、誰がいるっていうんだい」
ピスティの質問に答えたのは、ライでした。
「見た方が早いだよ」
はっきりしないので、今度はフウに尋ねました。
「誰を捕まえたんだい」
「目視確実」
目で見ることが何より確かだ、とフウは言っています。
「ゲン、教えてくれよ」
「ここで説明するよりも、ご覧になられた方が早いかと存じます。まずは城へ急ぎましょう」
ゲンはそう言うと、ピスティが疑問を挟むのを許さないといった様子で、民衆に呼びかけました。
「ピスティさまは、これからこの国の王になられる! これからのアウィーコートの発展に、みんな期待してくだされ!」
すると民衆は、またワッと歓声をあげました。
ピスティは、胸を張ることもできず、かといって、謝ることもできず、なんとも居心地の悪い気分になりました。そんなピスティの気持ちを察してか、ゲンが誘いました。
「さあ、お城へ。裏切り者は、すでに引っ捕らえてあります」
果たして、城には何者が捕えられているというのでしょうか。
ピスティは、ゲンに案内されながら、城へと戻りました。
※
城に戻りましたが、そこは決して華やかと言える場所ではありませんでした。
じめじめと湿っていて、薄暗く、虫が壁や天井を這っています。
ここは牢獄。
通路の両脇に、鉄格子のはまった狭い部屋が、いくつも並んでいます。
なるほど、国を裏切った者が閉じ込められるにはふさわしい場所かもしれません。
「いったい、誰がいるっていうんだい」
ピスティの質問に答えたのは、ライでした。
「見た方が早いだよ」
はっきりしないので、今度はフウに尋ねました。
「誰を捕まえたんだい」
「目視確実」
目で見ることが何より確かだ、とフウは言っています。
「ゲン、教えてくれよ」