ここから始まる物語
第10章 裏切り者
フォビスは、すぐには返事をしませんでした。審判をあおいで、王として認められる自信がなかったのでしょう。
そんなフォビスを、ライもフウもゲンも、そしてレナも、険しい目つきで睨みつけています。
「わかったよ」
フォビスは頬をひきつらせました。
そしてピスティと仲間たちとレナは、フォビスと、荷車に寝ているブロミアを連れて、街へ戻ったのでした。
※
街へ戻るや、街の人たちが一斉に睨みつけてきました。
「どうしたっていうんだ」
「ご安心なされ」
ピスティの不安を、ゲンが優しい声で慰めました。
「皆は、フォビスさまとブロミアさまを憎んでおるのです」
「なんでだ?」
「それは言うまでもないこと。お二人が、国を捨てて逃げ出そうとしていたからですじゃ」
「なんでそんなことを知っているんだ。それは、僕らしか知らないはずなのに・・・・・・」
「わしらが皆に教えてまわったのです」
にやりとゲンは笑いました。ぞくりと背筋が凍りました。見れば、ライもフウも怪しげな笑みを浮かべています。
彼らは、本当にピスティの仲間なのでしょうか。
ほのかな疑念を抱きつつ、ピスティは公園を目指して歩きました。
※
やがてピスティたちは、広場へ到着しました。
この広場は、ピスティがエカタバガン軍と戦う前に、兵士たちと集まった場所です。
その真ん中に立つなり、ライが大声で叫びました。
「みんな! 聴いてほしいだよう!」
その声は雷のように響き渡りました。
言われなくても、すでにピスティたちに注目していた者たちは多くいたのですが、そうでない者も、ライの声に広場へと集まってきました。
ピスティたちを中心に、民衆が円を描いています。
ゲンがそっとピスティに囁きました。
「ここからはピスティさまが仕切るのです。王にふさわしいのはピスティさまであり、フォビスさまはその器ではないことを、皆に告げるのです」
そんなフォビスを、ライもフウもゲンも、そしてレナも、険しい目つきで睨みつけています。
「わかったよ」
フォビスは頬をひきつらせました。
そしてピスティと仲間たちとレナは、フォビスと、荷車に寝ているブロミアを連れて、街へ戻ったのでした。
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街へ戻るや、街の人たちが一斉に睨みつけてきました。
「どうしたっていうんだ」
「ご安心なされ」
ピスティの不安を、ゲンが優しい声で慰めました。
「皆は、フォビスさまとブロミアさまを憎んでおるのです」
「なんでだ?」
「それは言うまでもないこと。お二人が、国を捨てて逃げ出そうとしていたからですじゃ」
「なんでそんなことを知っているんだ。それは、僕らしか知らないはずなのに・・・・・・」
「わしらが皆に教えてまわったのです」
にやりとゲンは笑いました。ぞくりと背筋が凍りました。見れば、ライもフウも怪しげな笑みを浮かべています。
彼らは、本当にピスティの仲間なのでしょうか。
ほのかな疑念を抱きつつ、ピスティは公園を目指して歩きました。
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やがてピスティたちは、広場へ到着しました。
この広場は、ピスティがエカタバガン軍と戦う前に、兵士たちと集まった場所です。
その真ん中に立つなり、ライが大声で叫びました。
「みんな! 聴いてほしいだよう!」
その声は雷のように響き渡りました。
言われなくても、すでにピスティたちに注目していた者たちは多くいたのですが、そうでない者も、ライの声に広場へと集まってきました。
ピスティたちを中心に、民衆が円を描いています。
ゲンがそっとピスティに囁きました。
「ここからはピスティさまが仕切るのです。王にふさわしいのはピスティさまであり、フォビスさまはその器ではないことを、皆に告げるのです」