ここから始まる物語
第10章 裏切り者
「でも――」
ピスティは戦争を引き起こした張本人です。そんな自分が王に相応しいとは、ピスティ自身にも思えませんでした。
「絶対安全」
ピスティなら大丈夫だ、とフウは言っています。その言葉を、ゲンが補います。
「おそれながら、わしらはピスティさまを友と思うております。ピスティさまが、城の中でどんな仕打ちを受けてきたのかを存じておる上に、そんなピスティさまのお心を、我がことの痛みのように感じてきたのです。だからこうして、フォビスさまとブロミアさまの思惑を見破って、大勢の前へ引き出す計画を練ってきたのです。ここでフォビスさまたちを釣るし上げることができれば、わしらの計画は成功するのです。それに、民衆の思いはすでにフォビスさまから離れており、ピスティさまに傾いております。決して、ピスティさまが失敗なさることはないでしょう。これは、わしら三人の、ピスティさまへの友情の証。どうか、お受け取りいただきとうございます」
ゲンは深々と頭をさげました。
今度は、ライが拳を胸に当てました。
「ゲン爺さんの言う通りだだよ。もし何かあっても、このライの腕っ節に任せておけば、何も怖くはねえだ」
腕を曲げて力こぶを作ります。
「私も、あなたを応援しているわ」
レナも、目を輝かせています。
「わかったよ」
ピスティは仲間たちの顔を順に見渡しました。三人――いや、レナを加えた四人は、揃って深く頷いています。
それからフォビスへ視線を向けると、フォビスは怯えきった顔で、顎をがくがくと震わせていました。
ブロミアはというと、もう何の表情も見せてはいませんでした。よほど病が重くなっているのでしょう。荷車に寝ているブロミアは、目ばかりをぎょろぎょろとさせて、瞬きひとつしません。
ピスティは戦争を引き起こした張本人です。そんな自分が王に相応しいとは、ピスティ自身にも思えませんでした。
「絶対安全」
ピスティなら大丈夫だ、とフウは言っています。その言葉を、ゲンが補います。
「おそれながら、わしらはピスティさまを友と思うております。ピスティさまが、城の中でどんな仕打ちを受けてきたのかを存じておる上に、そんなピスティさまのお心を、我がことの痛みのように感じてきたのです。だからこうして、フォビスさまとブロミアさまの思惑を見破って、大勢の前へ引き出す計画を練ってきたのです。ここでフォビスさまたちを釣るし上げることができれば、わしらの計画は成功するのです。それに、民衆の思いはすでにフォビスさまから離れており、ピスティさまに傾いております。決して、ピスティさまが失敗なさることはないでしょう。これは、わしら三人の、ピスティさまへの友情の証。どうか、お受け取りいただきとうございます」
ゲンは深々と頭をさげました。
今度は、ライが拳を胸に当てました。
「ゲン爺さんの言う通りだだよ。もし何かあっても、このライの腕っ節に任せておけば、何も怖くはねえだ」
腕を曲げて力こぶを作ります。
「私も、あなたを応援しているわ」
レナも、目を輝かせています。
「わかったよ」
ピスティは仲間たちの顔を順に見渡しました。三人――いや、レナを加えた四人は、揃って深く頷いています。
それからフォビスへ視線を向けると、フォビスは怯えきった顔で、顎をがくがくと震わせていました。
ブロミアはというと、もう何の表情も見せてはいませんでした。よほど病が重くなっているのでしょう。荷車に寝ているブロミアは、目ばかりをぎょろぎょろとさせて、瞬きひとつしません。