ここから始まる物語
第10章 裏切り者
この憎たらしい顔は、もう二度と見たくありません。
ピスティは、民衆に向かって、まっすぐに問いかけました。
「みんなに聞きたい! 僕と、このフォビス――」
ピスティは、横に立っている兄へ手を差し伸べます。
「――どちらが王に相応しいだろうか」
その問いかけに、民衆は口々に叫びました。
「ピスティさまに決まっている!」
「国を見捨てた奴なんか、王じゃない!」
「ピスティさま、どうか国を治めてください!」
フォビスを認める声は、ひとつも聞こえてきませんでした。しかし、ピスティは慎重になって、重ねて問いました。
「僕は、あまり勉強ができない。知識もない。礼儀作法もよく知らないような人間だ。それでも僕は王にふさわしいだろうか。正直に言ってほしい。ふさわしくないと思うなら、その思いを僕は聞き入れる。そしてあえて王になろうとは思わない」
それでも、なお民衆はピスティを讃えます。
「それでもピスティさまが王になるべきだ!」
「エカタバガンの軍隊に勝てる奴なんかそんなにいねえ! ピスティさまこそ王にふさわしい!」
「庶民を裏切るやつなんか、たとえ王でも、王じゃないや!」
その声はどんどんと大きくなっていき、ついには乱暴な言葉が飛び交い始めました。
「国を裏切ったやつなんて、死刑にしてしまえ!」
「俺たち庶民を見捨てて、何が王だ! 首をはねてしまえ!」
「ついでにブロミアも殺してしまえ!」
「二人まとめて処刑だ!」
殺せ、殺せ、殺せ、殺せ!
庶民の声は一つになり、フォビスとブロミアに襲いかかります。
まさか、ここまで民衆が暴走するとは思ってもいませんでした。
ピスティが振り返ると、フォビスは顔を真っ青にして怯えきっていました。
ピスティは、民衆に向かって、まっすぐに問いかけました。
「みんなに聞きたい! 僕と、このフォビス――」
ピスティは、横に立っている兄へ手を差し伸べます。
「――どちらが王に相応しいだろうか」
その問いかけに、民衆は口々に叫びました。
「ピスティさまに決まっている!」
「国を見捨てた奴なんか、王じゃない!」
「ピスティさま、どうか国を治めてください!」
フォビスを認める声は、ひとつも聞こえてきませんでした。しかし、ピスティは慎重になって、重ねて問いました。
「僕は、あまり勉強ができない。知識もない。礼儀作法もよく知らないような人間だ。それでも僕は王にふさわしいだろうか。正直に言ってほしい。ふさわしくないと思うなら、その思いを僕は聞き入れる。そしてあえて王になろうとは思わない」
それでも、なお民衆はピスティを讃えます。
「それでもピスティさまが王になるべきだ!」
「エカタバガンの軍隊に勝てる奴なんかそんなにいねえ! ピスティさまこそ王にふさわしい!」
「庶民を裏切るやつなんか、たとえ王でも、王じゃないや!」
その声はどんどんと大きくなっていき、ついには乱暴な言葉が飛び交い始めました。
「国を裏切ったやつなんて、死刑にしてしまえ!」
「俺たち庶民を見捨てて、何が王だ! 首をはねてしまえ!」
「ついでにブロミアも殺してしまえ!」
「二人まとめて処刑だ!」
殺せ、殺せ、殺せ、殺せ!
庶民の声は一つになり、フォビスとブロミアに襲いかかります。
まさか、ここまで民衆が暴走するとは思ってもいませんでした。
ピスティが振り返ると、フォビスは顔を真っ青にして怯えきっていました。