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ゆらぎ

第1章 定かでないもの

まぶたの裏に書かれた言葉を知っていますか

あなたは毎日見ているし

見ようと思えば今でも見える

そう、まぶたを閉じれば


まぶたの裏に書かれた言葉を知っていますか?

知っている?

本当に?

それが本当でも、嘘でも

まぶたの裏に書かれた言葉の存在を

あなたは知ってしまった


これから先

あなたはその存在に悩まされる

見ようとすれば遠ざかり

見えたと思っても信じられず

そんなものないよ

と否定しても

それでも

ひょっとしたらあるかも

と思い返したり

その答えは、やっぱり、あなたのまぶたの裏に書いてある


あなたのまぶたの裏に書かれた言葉と、僕のまぶたの裏に書かれた言葉は、同じかもしれないし、同じではないかもしれない

僕の見ている赤と、あなたの見ている赤が同じかどうかわからないように

ねえ、まぶたを閉じると

涙がこぼれるよ










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