❇️片暉の残照❇️
第1章 王都からの訪問者
「そう言われても、私は罪悪感で眠れぬのです――――テイス殿…どうか、ティアナ様の分まで恩返しをさせてはくれぬか?
我が家は、息子が一人おりますが――――…ティアナ様を探すと言う事は了承しております。
息子は姉が出来る覚悟はしておりますので……姉が妹になろうとも受け入れると思います。
テイス殿…我が家の養女となりませんか?」
私はビクッ!と、驚き口をパクパクさせる。
「――――ハジロ公爵様…の…養女?」
「我が家の救世主でもあるティアナ様の宝――――…私どもの宝も同然、王都での生活は息苦しいかも知れませんが…テイス殿の将来の選択を広げて差し上げたい!
王都に馴染めず苦しくなるようであれば、ここに近い我が家の西領土、自然の多い場所での将来も視野に入れ――――…最善の幸福を…選べるように…いたしますから」
深々と頭を下げるハジロ公爵に私は動揺する…。
しかし、ここしか知らない――――と、言うのは…私のなかで“違う”と感じていたのは事実…。
――――こことは違う…景色…世界。
そして、天涯孤独だと思っていた母に――――生れた故郷が…ある?
それならば、
見てみたい――――…
別の世界があるのなら、私は見てみたい!
母の見た景色を――――私も見てみたい!