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❇️片暉の残照❇️

第1章 王都からの訪問者


母が無実だと証明したかったハジロ公爵だったが、他領の――――しかも、位の低い男爵家の末娘の考えたバラだと…公表することもできないと、公爵家でも賛否が別れ――――…答えが出ないまま…母の処分が決まり、彼女は姿を消したのだと言う。


事件は母の追放&失踪で幕を閉じた――――…が、

それでも、ハジロ公爵は何年も母の無実を王に伝え、共同開発者としての記名を許可されまでになったのだとか――――そして、ここ数年は本格的に母を探してくださっていたみたいだ。


「――――私は…ティアナ様に謝らねばならない…貴女のバラを盗んだのは…私なのに…

なんとお詫びをしてよいか…」


ハジロ公爵は、母に謝りたいと泣き出した――――…。


「ハジロ公爵様…謝らないでください――――…、母は自らバラを公爵様に譲ったのでしょう?であれば…母はなんとも思ってはおりません」


離別や…追放はいささかやり過ぎな気もするが、王家の宝を下位の者が所持していたら…当時は怪しまれるにきまっている。


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