❇️片暉の残照❇️
第6章 植物園と銀の狼
すると、入り口のドアが開き――――…
「おや、時間ぴったりでございますね!」
と、一人の白衣を着た男性が現れた。
「本日は、見学の許可を頂きありがとうございます。私は、テイス・ハジロと申します」
「これはこれはご丁寧に、さぁ――――中にどうぞ」
白衣の男性に案内され、私たちは研究所の中に入った。
「あっ、申し遅れました――――私は、ここの所長を勤めさせていただいてます、リンデル・ガーバと申します。一応、子爵家の出でございますが……三男ですから好き勝手に植物の研究をさせていただいております」
リンデルさんは笑うと瞳が無くなるほど目が細く、垂れた目元が愛くるしい方。
ヘッド背も高く白衣も似合うが、研究に没頭してしまうタイプなのか、髪型は多少ボサボサして見えた。
「ここには、沢山のハーブがあると聞きました!もう、秋も半ばですが…見られますか?」
「お!?ハーブですか――――それなら、ちょうどザジが手入れをしているところです!見ますか?」
「はい!是非――――!」