❇️片暉の残照❇️
第6章 植物園と銀の狼
研究所の中は温室とは行かないが、暖かい温度で保たれるような作りになっているらしく、外とは違い過ごしやすい。
「ここが、ハーブの区画です――――。ザジ?ザジはいるかい?お客様だよ」
「しょ、所長?!――――は、はい!ここにおります!――――お客さまって…ここにですか?」
リンデルさんがハーブ区画の草むらに声をかけると――――遠くの方から声がした!
「えっ?お客様――――…?って!誰っすか!?」
声の方に向くと、草むらの中からピョコッと少年が顔をだす。
「こっちに来て挨拶を――――!」
「はあ?今、草むしりで忙しいんだけど…」
少年は顔に泥を付けながら渋々こちらに頭を下げる。
「愛想が悪くて申しわけない――――…弟子のザジだ」
「あっ、よろしく――――ザジさん!あっそれ!ミランですか?でも、色が違う!?」
私はザジの近くに行くと雑草を引っこ抜く区画のハーブに目が止まった。
「///ザジ――――さんって、し…使用人や弟子に“さん”付けんな!お、俺はそんな……身分じゃねぇ――――って、お姫様がここでしゃがむな!ドレスが汚れるぞ!」
ザジは私のドレスを気にしてか、立つように促す!
「え?――――ほ、本当だ!こうしたら大丈夫?」
汚れないようにドレスをの裾を持ち上げると引きずらないように腰の位置で結んだ!
「///テイス様――――おみ足が!」
「?汚れるよりいいでしょ?――――ねぇ、ザジさん!これ、ミランよね?爽やかな香りだもの!でも、色が黄色いわ――――なぜ?」
「///また、“さん”付けてる――――…って…、あっ~これか?これは所長が作った新種のミランだ!これは爽やかな香りなのに甘いんだ!」