❇️片暉の残照❇️
第6章 植物園と銀の狼
それから、一週間後――――…私は、城下町にあるリンデル植物研究所の入り口で大きく深呼吸をしていた。
「テイス様、植物図鑑を持ってきたんですか?」
「///はい!――――この中にある珍しいハーブに出会えたらと…思いまして…」
今回も護衛を引き受けてくれたキロが、私の腕にしっかりと抱えられている図鑑を見てキョトンとしている。
「この図鑑はテイス様の宝物でございます」
ニコルの言葉にキロは「そうでしたか…」と、珍しいものを見るように図鑑と私を見比べる。
「キロ…今日は――――私のワガママに付き合ってくださりありがとうございます」
「いえ、お嬢様とご一緒できて光栄です」
頭を深々と下げられると…恐縮してしまう…
しかし、目の前の立派な建物にテンションが上がっている私は、キロとニコルとの会話もそこそこに入りたい衝動でウズウズしていた。