❇️片暉の残照❇️
第6章 植物園と銀の狼
馬車が止まった場所は、立派な建物の裏口――――。
兵士が見守るなか、私たちは馬車の荷台から荷物や苗木を下ろし重い荷車を引いて建物に隣接さる植物園に向かった。
「ここの一画だ――――早目に頼むぞ」
案内された植物園は、私が思っていた物とは…少し違っていた。
「あの――――…ここが…植物園…ですか?」
目の前には何処にでもある植物たちが綺麗に配置されていて植物園と言うよりは、花壇…庭園と言った方がしっくり来る。
「あ――――…ここは、荒らされる回数が多くて…大事な植物は研究所や奥の特別室に避難させたんだ。ここは、温室管理もしっかりしているから…珍しい植物の保全にはもってこいなんだけど――――ほら…あれを見たら…ここには置いておけないだろ?」
先輩が、荒らされた一画を指差すと…暗い表情を見せた。
確かに――――…植物が派手に踏み荒らされている…。