❇️片暉の残照❇️
第6章 植物園と銀の狼
「予定が変更になったのよ!――――ダメもとでサンドラ様にお茶会の招待を出したら///今日の午後なら空いていると言うのですから――――!今日の午後になるのは当たり前でしょ!」
「そ、そんな――――無茶苦茶な…」
本当に…無茶苦茶だわ…。
「――――庭師の怠慢だわ!さっさと綺麗な場所しなさい!」
彼女はここを“植物園”だと言うわりに“庭園”の認識なのだと…作業をしながらガッカリした。
先輩たちの顔も…呆れた顔になっている。
「しかも――――はあ?なぜ、あの一ヶ所は花も木も草も無いんですの!?今すぐに元通りにしなさい――――!サンドラ様の前で!こんな土ばかりのお庭を見せるわけには行かないわ!私が恥をかくじゃない!」
入って来ては欲しくなかったが、赤毛の彼女は怒り収まらず――――植物園区画に入ってきた!
「インギル様――――そこはまだ…」
彼女は制止する園関係者の声を聞かず土がむき出しの我々の元にやってくる!
「ちょっと――――!この愚民ども!
後1時間――――いや!30分で気品のある上質な庭へとしなさい!これは、次期王族になる私(わたくし)公爵家令嬢…インギル・コレジバの命令よ!」
「え――――…30…分…で?」
私は持っていたスコップを驚きのあまり落としてしまった!
すると、落ちたスコップが泥を撥ね飛ばし――――…ふんぞり返る赤毛の彼女のドレスに飛び散った!
「キャァァァァァ――――!なっ、なんて事を!!」