❇️片暉の残照❇️
第6章 植物園と銀の狼
「っ――――て、ガキじゃねぇ~か!
それに…泥…ついてる…研究所のヤツか?……先日…踏み荒らされたって言ってたからな…ご苦労なこって」
私は慌てて濡れたままの眼帯を後ろ向きになりながらつけると…長い髪で顔と体を隠しながら…水場の後りで先輩の作業着を着た。
「――――は…はい……転んでしまって…」
「は?転んだ――――?その…顔の腫れは何だ?扇子で殴られたって感じだけど?」
いつの間にか、距離を縮めた銀髪の男性は私の左頬にかかる髪を指で退けると――――…意地悪そうに笑う。
「インギル嬢だろ?――――あの女…赤毛だからな…必死なんだよ…」
「ん?――――…左目……いつもは眼帯をしてるのか?」
濡れた眼帯を赤く腫れた頬を撫でる流れで触る男性に、私は後ずさりする…。
「――――は…はい…幼いときの…傷が…あるので…」
「傷――――へぇ…傷ねぇ……」
銀髪の男性は私の左目と右目を交互に見ると、また「フッ」と、笑って離れた。