❇️片暉の残照❇️
第7章 穏やかな日々と子守唄
「ハハハ――――君には驚かせられてばかりだ!」
彼はケラケラと笑うと、サッと手を差し出した。
「――――?」
「その子守唄で、踊ってみましょう」
差し出された手を思わず掴んだ私の体をヒョイと引き寄せると――――、私達はダンスをする体勢になる。
「///えっ!」
「さぁ、歌って、歌って――――、君の声は聞いていて心地いい」
向かい合い、手を取られ――――クイッと手に力を込められる!
“動き出す”
そう、指先で分かるタイミングに合わせ――――私は、子守唄を歌う。
♪――――~
愛しき――――…愛しき…
大輪よ…届け
寄り添い――――…寄り添い…
重き空に…紅(くれない)…
守りし――――守りし…
苦き水…紫(むらさき)…
願いし――――思い…
愛する…我が宝(たから)――――♪
短い歌詞の子守唄を何度かループさせ歌う…。
それに合わせて、彼と一緒に噴水の前で踊った。
今まで、散々――――パートナーの足を踏み散らかしてきたとは思えないほど…
彼とのダンスはスムーズで、まるでお父様とお母様のダンスのように――――…
二人のだけの世界がそこにあった。